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死を背負い紡ぐ運命の先に

数少ない全年齢の一つです。

兵長視点で書くにも楽しいと思って書きました♪



死を背負い紡ぐ運命の先に




足元に広がるのは血の海―――
周囲に重なる無数の屍の山―――

「リヴァイ兵長―――必ず巨人を皆殺しに………!」
「お願いします……人類を救ってください――――」

あぁ……これで俺はまた一つ死を背負うのか―――



「―――ヴァイ……リヴァイ!」
「ん――――」
「君が仕事中に居眠りなんて珍しいね……」
「いま何時だ――?」
「もう夕方。明日からの壁外調査の準備は滞りなく進んでる。あとは……リヴァイが手にしているその書類にサインをもらえればいいだけど?」

ハンジが指をさした先にあるのはリヴァイがうたた寝をしながら手に持っていた一枚の書類だった。
リヴァイはチッと舌打ちをしながら書類にペンを走らせ、ハンジの前へと突き出した。

「今回は200名の調査兵が参加するらしい――何人生き残って帰れるかな。」
「いまからそんな辛気くせぇこと考えてんじゃねぇよ。」
「……わかってる。でもさ、私たちは多くの死を見すぎた―――」

これまで死んでいった仲間のことを思い出しているのだろう。憂いた表情のハンジが悲しげにスッと目を細めた。
リヴァイが調査兵団に入団した頃からの付き合いは、団長であるエルヴィンを除けばハンジだけとなってしまった。
他の調査兵は皆、志半ばにして次々と死んでいった――
調査兵団に入るということは、安寧な暮らしを捨て巨人が巣食う壁の外に出るということ。
その生態や、なぜ人間だけを襲うのかなど――数千と言われる調査兵の命を犠牲にしてもその全貌は明らかになっていない。
多大な税金と犠牲を払ってもなんの成果を得ない調査兵団に、中央の保守派たちからは不用論が上がり始めていたのだ。
しかし、そんな声が一層されたのは5年前――シガンシナ地区に超大型巨人が現れ、壁を破壊……そこから侵入した無数の巨人に、穏やかだった街は凄惨と化した。
住民をできるだけ避難させ咄嗟に門を封鎖したものの、そこに突如現れた巨人により3つの壁のうち一番外周になるウォール・マリアが突破され、人類は3分の1の領土を失うこととなった。
そしてウォール・マリアから逃れてきた住民に対し土地も食料も養えなくなった中央政府が取った手段は、2割の人口を減らすことだった。
この愚策に対し非難が集中した中央政府は政策を一転、これまで疎外してきた調査兵団を優遇するようになってきたのだ。

「しかし、巨人って何で人間と同じ姿をしているんだろうね……」
「――おい、そりゃどういう意味だ?」
「長年巨人を研究し続けてさ、傷があっという間に治ったりとか夜は動けないとか生態は確かに違うんだけど……見かけは人間そっくりでしょ?これじゃまるで人間が姿を変えてもおかしくないのかなって――」

ハンジは中央の大学を首席で卒業したというのに王宮や政府には入らず、巨人の研究をしたい一心で調査兵団に入団したという変わり者で有名だ。
しかし、ハンジの研究結果に救われたことはこれまで数えきれないほどある。
だからリヴァイもハンジには一目置いていた。

「人間が巨人に?まさか、そんなことあるわけ――」
「ないとは言い切れない。なんせ我々人類は巨人のすべてを知り尽くしてはいないのだから……」
「俺たち人間の中に巨人が潜んでるっていうのかよ、バカバカしい。」
「私はいくつもあるうちの一つの可能性を言ってみただけだ。とはいえ、人間があんなに大きな巨人に変身するなんてことが事実あるとしたら……もしかしたらいまの形成を逆転できるかもしれない。」
「何を言いだすかと思えば……お前、今日は熱でもあるんじゃねぇのか?さっさと部屋に戻って休んだ方がいいぞ。」

ハンジの話があまりに突拍子ないものだったので、リヴァイは大きく溜息をついた。
目を輝かせながら頬を上気させたハンジは、巨人のことで一旦スイッチが入ると話出すと誰にも止められなくなる。
いままで付き合わされた調査兵は数知れず。その全員が朝まで付き合わされ一睡もできなくなるという。
リヴァイはいかにも邪魔だというように、シッ、シッとハンジを部屋から追い出そうとした。

「酷い言われ方だなぁ、もう……リヴァイの方から聞いたクセに……」
「俺たちの味方になる巨人か?人間を食うことしかない単細胞の奴らにそんな気の利いたことできるわけねぇだろ。」

リヴァイの返事が予想どおりだったのだろう。ハンジはフフンと鼻で笑った。

「でもさ、通常種や奇行種……まぁこれは我々が勝手に付けただけだけど、巨人にもいろんなタイプがいるのはわかっているんだ。その中に人と同程度の言語力や思考力がある巨人がいる、もしくは学習能力のある巨人だっていてもおかしくない。」
「お前――本当にいると思っているのか?」
「研究者はね、たとえ0.1%しかない可能性にも賭けてみるもんなんだ。」
「俺にはついていけない世界だな……」
「そう?」

リヴァイは椅子から立ち上がり両腰に下げている巨人を殺すための刃を抜き、ハンジの方へ切っ先を向けた。

「俺は目の前に巨人がいたらすべて皆殺しにするだけだ……人の意思を持っていようがいまいが関係ねぇ。巨人をすべて皆殺しにする――それが死んでいったあいつらへの約束だ。」
「もし知っている人間が巨人だとしても……?それでもリヴァイは躊躇わず急所にトドメを刺せる?」
「関係ねぇな……」
「――絶対に自分の信念は曲げないか……リヴァイらしいね……」

ハンジはリヴァイの答えに口元を綻ばせた。



「おぉ来た!調査兵団の主力部隊だ!」

次の日、壁外調査に向かう調査兵団一行を一目見ようと民衆たちが大通りに集まった。
沸き起こる歓声……調査兵団に期待する声はどんどん大きくなっていった。
【税金泥棒】と罵られていた5年前とは大違いだ。

「あぁ!リヴァイ兵士長だ!」
「キャー!リヴァイ兵士長~こっちを向いて~~」
「チッ……うるせぇな……」

自分に向けられた黄色い声に終始しかめっ面をしているリヴァイに、横にいたハンジがププっと噴き出した。リヴァイはジロリと横目でハンジを睨んだ。

「何笑ってやがる……」
「あぁ…ごめん、ごめん。いや、知らないって幸せだなって……」
「てめぇ…俺に殴られたいか。」

リヴァイがハンジの方に向いた視線の先――民衆の中に訓練兵の制服を着た15~16歳くらいの若い男女の姿が飛び込んできた。
その中でも一際熱い視線を向けてくる一人の少年に、リヴァイは目が釘付けになった。

「リヴァイ…どうしたの?あぁ、あの訓練生たち?」
「知ってるのか?」
「確かいまは104期生だったと思う。今回の成績10位までの生徒は歴代でも優秀な生徒ばかりだって聞いたかな。まだ卒業したばかりみたいだから、これからどこの兵団に入るのか決まるんじゃないのかな?」
「そんなに優等生ならどうせ憲兵団行きだろ?」
「まぁ……確かにね。調査兵団を志望する子はなかなかいないだろうしね……でも珍しいじゃない?リヴァイが見ず知らずの他人を気にするなんて……誰?あの黒髪の綺麗な女の子?」
「いーからお前はもう黙ってろ……」

追求してこようとするハンジをごまかしたが、さっき見た少年のことがリヴァイの心にひっかかっていた。
【人類最強】と称されるリヴァイはこれまでも数多くの羨望の眼差しを浴びてきたが、あの少年が自分に向けた目線は何かが違う。あんなにまっすぐで澄んだ瞳をリヴァイは見たことがなかった。
あの少年はどこの兵団を希望するのか――ここに来たということはもしかしたら調査兵団を希望するのかもしれないが、ただの憧れだというのなら正直ごめんだ。
これまでリヴァイは調査兵団の仕事に憧れだけで入ってきて、絶望のうちに巨人に殺される者の最後の表情を何度も見てきたからだ。
でもあの少年は違う……恐らく一度出会う気がするとリヴァイは確信していた。


今回の壁外調査では、巨人を生きたまま捕獲することが第一の目的だった。
団長であるエルヴィンの的確な指示のもと、巨人を誘導する班と捕獲する班とがうまく連携し、なんとか2体の巨人を捕まえることができた。
しかし、それでも犠牲がまったくなかったわけではない。一つの巨人誘導班が奇行種に翻弄され全滅するなど、およそ5分の1の調査兵の命が失われた。

「お前は十分に活躍した……そしてこれからもだ。」

――あぁ、俺はまた……

「お前の残した意思が俺に“力”を与える。」

――この背中に命を背負うのか……

「約束しよう俺は必ず!巨人を絶滅させる!」

目を閉じた調査兵は安心したような表情を浮かべそのまま息を引き取った。
もう何度も見てきた仲間の死に、涙はとっくのとうに枯れ果てているリヴァイは調査兵の手を静かに胸の上へと置いてから立ち上がり、雲一つない空を見上げた。
だからこそ俺は戦い続けなければならない――誰のためでもない、自分のために……背負ってきた皆の願いに押しつぶされないようにと、リヴァイはそう自分に言い聞かせた。

「リヴァイ!退却だ!」
「退却?まだ限界まで進んでねぇぞ…俺の部下は犬死か!?」
「巨人が街を目指して一斉に北上し始めた。」
「――――!」
「5年前と同じだ。街に何かが起きている。壁が破壊されたかもしれない。」

隣にいたペトラが声を詰まらせ、体を小さく震わせる。
一瞬にしてその場の空気が凍りついた。

「とりあえず戻るぞ。恐らく駐屯兵団では塞ぎきれん。最悪の事態は何としてでも避けなければならん。」
「くっ―――」

リヴァイはエルヴィンの言葉に素直に従い、急いで馬に飛び乗った。

「まさかとは思うけど――我々が壁外に出てる隙を狙ったとしたら……」
「………」

リヴァイに並んで隣を走るハンジが考えこみながら呟く。
偶然だろ?という言葉ははぜか出てこなかった。
もしハンジの言うとおり、人間の中に巨人がいるとするのなら……いや、いまは仮想の話をしている場合ではない。

脳裏にあの少年の顔が過ぎったリヴァイはギュっと唇を噛みしめる。
卒業したばかりの訓練兵は巨人を倒す技術を身に着けてきたとはいえ、実践がまだ未経験の者にとってはかなり厳しいといえる。
しかもいきなり巨人が襲ってきたこともあり、現場はかなり混乱しているはずだ。
指揮官も不在の中、訓練兵たちは自分たちの力で巨人に立ち向かわなければならないだろう。
絶望的ともいえる状況で、訓練兵たちは果たしてどれだけ生き延びることができるのか――
一刻も早く街に戻らねば……リヴァイは一際馬を速く走らせた。



「リヴァイ兵長は運命の出会いって信じますか?」

いつだったか仕事の合間の休息時に、コーヒーを淹れてくれたペトラがリヴァイに唐突なことを聞いてきた。

「おい……いきなり何だっていうんだ?」
「その人にとって運命の相手に出会ったときって、ビビビって直感的に感じるものがあるそうなんです。まぁ誰もが必ずしも出会えるというわけではないそうですが……リヴァイ兵長はそう感じたことのある相手に会ったこといままでありますか?」
「―――ねぇな、んなもん。」
「もしあったとしたら素敵ですよね……」

その時は年頃の女がよく抱く夢だと思って聞き流していたのだが、いまならはっきりわかる。
あの少年は恐らく自分の運命の相手なのだと心の奥底で直感した。
他人の死を背負いすぎた自分に、運命の相手などというものが一体何を及ぼすのかまったく想像がつかない。
それでも――いや、だからこそ滅多に願いごとをしないリヴァイは願わずにはいられなかった。

―――この俺の手が届くまで絶対に死ぬんじゃねぇぞ……クソガキ


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


後書き

リヴァエレといいつつ全然リヴァイとエレンの接触がなくて、しかもハンジが出張りすぎだよ(笑)
仲間の死を背負いすぎたリヴァイが唯一心を許せる相手がエレンになるといいなという感じで書いてみました。
まぁ……といってもリヴァイの方が断然年上なので、素直に甘えるとは思えませんが。
リヴァイは多分弱音を口にしないでしょうから、その分エレンの温もりで癒されるんでしょうね。

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

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