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お題SS「あなたに追いつく目標」(エレリ)

年の差の恋のお題からとなります。
両片想いな二人の話♪

どうも私が書くエレリは強気攻めになりそうです……(笑)


あなたに追いつく目標



時刻は既に深夜になろうとしている。兵士たちの宿舎の灯りもまばらになってきた。
しかし、調査兵団本部の一角にある訓練場では、一人の兵士が訓練に励んでいた。

「くそっ……もう少し斬り込む角度を深くしないといけないのか。」

エレンはブレードの刃を交換し、模擬巨人のうなじ部分を睨みつける。
立体機動装置を使い空高く舞う上がったエレンは、うなじめがけて垂直に斬り込んでいった。

「うっ………!」

うなじに斬り込んだ瞬間、右腕に激痛が走る。
なんとか体勢を立て直してから着地するのと同時に、手に持っていたブレードの柄を落としてしまった。

「無理しすぎたか………」

エレンは左手に痛みとともに熱がジンジンとましてくる右腕を抑えながら、ふぅっと夜空を見上げた。

調査兵団に入団して一年近くになろうとしている。
いまだにエレンが人間として巨人を討伐したのは指折り数える程度。
同じ104期生であるジャンたコニーたちでさえ、討伐数や討伐補佐数を着実に増やしていっているというのに、エレンは自分の不甲斐無さに唇を噛みしめた。

『こんなんじゃ……リヴァイ兵長にガキ扱いされても仕方ねぇよな………』

きっかけは数週間前のことだった。
エレンがハンジの実験につき合わされ、遅れて昼食に向かおうと食堂に入ろうとした瞬間、エレンのことを話している兵士たちの声が耳に入ってきた。

「エレン、あいつは巨人になれるからこそリヴァイ兵長の傍にいられるんだろ?」
「まぁ、いつ暴走するかわからない奴とはあまり一緒にいたくはないよな。」
「あぁ、気がついたらエレンに喰われてしまうかもしれない。」

巨人の力を持つエレンを内心では恐れている兵士が少なくないことはよくわかっているし、自分が他の人間とはもう違うのだということだって自覚しているつもりだ。
兵士たちの会話でエレンの胸をもっとも締め付けたのは「巨人になれるからこそリヴァイの傍にいられる」という一言だった。

人類最強である希望の翼――調査兵団兵士長のリヴァイ。

エレンを唯一殺せる人間。いまやリヴァイはエレンにとってかけがえのない存在となっている。
傍にいるうちに気持ちはどんどん膨らみ、気がついたときにはもうとっくに手遅れになってしまっていた。

皆が憧れる、何よりも眩しい存在を自分だけのものにしたいのだと――――



「……もう痛みがひいてきた……ハハハ……さすがバケモノだな……」

エレンは苦笑いを浮かべる。
巨人の力はいまのエレンにとって必要不可欠だ。
諸刃の剣であるからこそもっとコントロールできるようにしておきたいし、なるべくなら巨人化のリスクは避けたい。
だからこそ、巨人を殺す技術の腕を磨き続ける。
いつか人としてリヴァイとともに戦いたい―――リヴァイに認められたいのだ。

「やっぱりここにいやがったのか……」

溜息混じりの不機嫌そうな声が耳に届き、振り向くとリヴァイが腕を組みながら立っていた。

「リヴァイ兵長―――」
「この時間は地下の部屋にいるルールだろうが。俺がいままで会議中だったから抜け出しやがったな。」
「――――すみません。」

エレンが謝罪すると、リヴァイはふぅっと長い溜息をついた。

「―――何でこんなことをしている?」
「え?」
「お前は巨人になって戦うのがメインだ。いまさら訓練兵じみたことをする必要もねぇだろ。」
「そう、ですけど……またいつ巨人になれなくなるかわかりませんし……」
「別に練習するなと言ってるわけじゃねぇ。ただでさえ昼間はハンジの巨人化実験に散々つき合わされているんだ。こんな時間にまで無理することねぇはずだ。」

リヴァイは尤もなことを口にしている。
でもそれだけじゃダメなんだと、エレンの中にいるもう一人が囁き続けていた。

「でもオレ、いつまでもリヴァイ兵長に守られてばかりは嫌なんです。」
「エレン―――?」
「俺があなたを守りたい。俺だけがあなたを守れる存在になりたいんです。」

エレンの足がリヴァイに向けて一歩一歩近づき始める。
リヴァイはピクリとも動くことなく、エレンのことをジッと見つめていた。

「お前が俺を守るだと?笑わせるな、ガキのくせに―――」

リヴァイの言葉にカッと頭に血が上る。
勢い余ったエレンはリヴァイの両肩をギュっと掴んだ。

「いつまでもガキ扱いはされたくないんです!」

感情を爆発させた後、どうして自分がそういう行動をしたのかよく覚えていない。
エレンはそのままリヴァイの肩を引き寄せ、唇を重ねていた。

イラスト

生まれて初めてのキスは拒絶されるかと思いきや、予想外の甘さと柔らかさに理性がどんどん崩壊していく。

『どうしよう……気持ちよすぎる……!もっと……この人が欲しい……!』

エレンの理性の箍が外れようとしたその時、鳩尾に強い衝撃が走った。
あまりの痛さにエレンは腹を抱えたまま動けなくなってしまった。

「へ……へいちょぉ……」
「ったく、調子に乗り過ぎた。エロガキ……」
「だからオレはガキなんかじゃ……」
「てめぇの感情をコントロールできねぇような奴はまだまだガキだ。」

きっぱりと言い切るリヴァイを睨みつけるようにエレンは瞳を真っ直ぐに捕えた。

「驚かせたことは謝ります。でも、キスしたことは謝りませんから……」
「何だと……?」
「これからはもう二度とガキなんて言わせません。オレはあなたと対等の立場になりたい。それがいまのオレの目標なんです。」

エレンは最も伝えたい言葉を胸にしまい、いまの気持ちを伝える。
そんなエレンを見つめるリヴァイの口元がフッと綻んだ。

「……そのがっつくようなキスをしないようになったら少しは認めてやる。」
「え――――?」

きょとんとするエレンの疑問の応えることなく、リヴァイは背を向け出て行ってしまった。
ポツンと一人残されたエレンは自分の唇を指で撫でてみた。

「リヴァイ兵長……そういえばもっと拒絶されるかと思ったのに……」

本当だったら2、3発殴られてもおかしくはない状況だった。
リヴァイ唇の柔らかさと温かさがいまだ感触として残っている。それがエレンの胸の奥に小さな熱を灯していた。

「本気で拒絶しないなら……オレますます調子に乗ってしまいますよ、リヴァイ兵長……」


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