スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

壁博HARU新刊「Peach & Milk Tea」サンプル

3/13 壁外調査博HARU 西1ホールB37a Mikeneco Cafe

リヴァイ×エレン小説 R18
Peach & Milk Tea
A5/80P/800円/挿絵・表紙に特殊装丁有
hyousi400.jpg

昨年10月の巨人のしつけ方で発行したリーマン×半人半獣猫の無料配布本「Peach Tea」の完全版です。
完売しました。ありがとうございました!

【あらすじ】
サラリーマンで独り身のリヴァイは雨の夜、ごみ捨て場に捨てられていた貴重種と呼ばれる仔猫を拾う。
初めは飼う気がまったくなかったものの、見え隠れする仔猫の寂しさに触れていくうちに同情とは違う感情が芽生え、ついに飼うことにした。
エレンと名付けられた猫はみるみるうちに成長し、リヴァイにとってかげがえのない存在となっていく。
種を越えた愛情を抱くリヴァイとエレンが辿る未来とは……
最初から最後までハッピー&ラブラブなお話で全部で三章立てになっています。


今回の表紙、そして4Pもの挿絵を艾田蓬子さん に描いていただいています。
このお話自体も艾田さんと一緒に考えたものですので、コラボさせていただいて本当に感謝しています。
そしてノベルティまで描きおろしていただいています!詳細はおしながきアップ時にお知らせします~


サンプルは第一章から第三章までの冒頭部分です。
第一章は出会い、第二章は初めての発情期、第三章は出会ってから一年後のお話です。

※サンプルはR18要素含みます。閲覧は自己責任でお願いします。


 第一章 サラリーマンと貴重種の仔猫


 生まれてからもう三十年近く、ずっと一人で生きてきた俺にとって運命の出会いなんてものはテレビのドラマや作り物の小説の中の話だけだと思っていた。
 少なくとも、あの美しい猫に出会うまでは―――

*   *    *

 街中にあるBARは金曜日ということもあり、会社帰りのサラリーマンやOLで賑わいを増している。時計の針は十二時にさしかかろうとしていた。

「リヴァイ、もう帰るのぉ?」

 隣の席にいる部下のモブリットに散々絡んでいたハンジが大声をあげながら帰り支度をしていたリヴァイを呼ぶ。厄介な奴に見つからないように抜け出そうとしていたリヴァイは肩を竦めた。

「あぁ……いま出れば終電に間に合うからな。」
「えー……せっかく大きな仕事のヤマも終わってひさしぶりに週末休めるじゃん。終電なんか気にせず朝まで飲もうよぉ!どうせ家に帰っても迎えに来てくれる人なんかいないくせに!」

 ハンジとは大学時代からの腐れ縁で同期入社。友人と呼べる存在がほとんどいないリヴァイにとってハンジは気心知れず付き合える貴重は存在ともいえる。しかし、かなりの酒が入っているとはいえ遠慮のない物言いにさすがのリヴァイも頭にカチンときた。

「それはてめぇも一緒だろうが、クソメガネ。」
「ブッブー!残念でした!うちにはかわいこちゃんが二人もいるんだもんね~リヴァイと一緒になんかしないでほしいなぁ?」
「たかがペットと人間の区別もつけられねぇのか。話にならねぇな。モブリット、お前のだらしない上司を頼んだぞ。」

 これ以上絡まれたらせっかくの終電を逃してしまう。酒の入ったグラスをブンブンと振り回しながら引き止めようとするハンジをモブリットに託し、リヴァイはそそくさとBARを出ていった。
 最終だというのにやたらと混雑した電車に揺られ、ようやく地元の駅についたリヴァイの鼻先にポツンと冷たい雫があたる。見上げると真っ暗な空から雨がしとしとと降り落ちてきた。

「そういや今日も夜から雨が降ってくるって朝の天気予報で言っていたな……」

 鞄の中を探したが入っていると思っていた傘が見当たらないリヴァイの脳裏に記憶が蘇る。昨日、残業を終えて先に帰ろうとした部下のペトラが傘を持っていないと困っていたので、リヴァイはいつも鞄に入れている折り畳みの傘を貸した。今朝になってペトラが傘を返してくれたのだが、取り込んでいたので鞄ではなくそのままデスクの引き出しに入れっぱなしにしてしまったのを思い出したのだ。

「このままじゃびしょ濡れもいいところだな………」

 リヴァイは大きく舌打ちをし、鞄を頭の上に乗せて雨を避けながらすぐ傍にあるコンビニに駆け込む。ビニール傘のほか、ちょうど切らしてしまっていた煙草も買い、これで週末は準備万端だ。誰も通らない夜道を一人で歩いていたリヴァイの耳に、動物のような鳴き声が聞こえてきた。

「何だ…?」

 立ち止まりキョロキョロと周囲を見回したが何も見当たらない。もう一度耳を澄ましてみると、道路脇のゴミ捨て場につぶれかかった段ボール箱がその声の発生源のようだった。

「……にゃぁ……にゃぁ……」

 中にいるのは雨に打たれ弱弱しく鳴いている一匹の仔猫。その姿にリヴァイは目を見開いた。

「こいつ……もしかして貴重種か?」

 猫といっても見かけは人間の赤ん坊と変わらない。特徴は頭の上に生えた獣のような耳と尻から生えた長い尻尾がゆらめく。半分は人間、半分は猫という、遺伝子改良により生まれた貴重種と呼ばれる猫だ。
 一時は芸能人や金持ちたちがこぞって貴重種を飼い始めブームになっていたのをテレビで目にしたことはあるが、そういうのは沈静化するもの早い方だ。
 貴重種は成長するにつれ人間とほぼ変わらなくなるし、言葉も話すようになる。その反面発情期を始めとした猫特有の習性も合わせ持つため、飼いづらいとも言われている。さらには遺伝子改良の影響か、繁殖がしづらく、最近では数が減ってきているらしい。いまではペットショップですら見かけることもなくなっていた。
 生まれたばかりで捨てられてしまったのだろう。不憫に思いながらも横を通りすぎようとしたその時だった。
――お願い、オレを見捨てないで……
 頭の中に直接響く声――リヴァイは足を止めて後ろを振り返るがそこには人影はない。下を見ると箱から顔を出している猫がジィッとこちらを見つめてきた。

「おい……いま俺を呼んだのはお前なのか?」
「にゃぁ……にゃぁ……」

07a400.jpg


 貴重種といえど、さすがに仔猫ではまだ言葉は通じないらしい。さっきはよく見えなかったものの、まじまじと覗き込んでみると仔猫の眩い金色の瞳に魅入られてしまう。
 トクン――リヴァイの中で何かが大きく弾けた。
 リヴァイはしゃがみこみ、傘で段ボールを覆う。雨をよけられたせいか、仔猫は濡れた体をブルブルと左右に振って雨粒を振り払い、きょとんとリヴァイを見上げてくる。

「お前……俺に何かしてほしいのか?」
「にゃぁ……にゃぁ……!」

 雨の音に紛れながらも仔猫はさっきより強い声でリヴァイに訴えかけてくる。それは死にたくないのだという強い意志の表れのようにリヴァイには見えた。

「そうだよな…お前はまだ生まれたばかりだ。理不尽な理由で死にたくなんかねぇよな……」

 リヴァイの言っている意味がわかっているのか、そうでないのか、にゃぁと鳴きながら首をちょこんと横に傾げる。その顔が何とも愛らしく見えてしまい、リヴァイはついに観念した。

「仕方ねぇ……新しい飼い主が見つかるまで俺が面倒みてやる。ただし、俺は生まれてからこのかた動物なんて一度も飼ったことねぇから、不自由な思いをしても知らねぇぞ?」
「にゃぁ……!」

 覚悟ともいえる返事を聞いたリヴァイは仔猫の入った段ボールを抱えて立ち上がり雨でぬかるむ夜道の中をそのまま走り出していた。
 そこから歩いて十分ほどしたところに一人暮らしには十分の広さといえる2LDKの三十階建ての高層マンションがそびえ立つ。リヴァイの自宅はそこの十五階にあった。

「着いたぞ。これで濡れずに済む。」

 走っている途中、仔猫の方に傘をさしていたため、リヴァイの肩と背中はグッショリと濡れたまま帰宅した。
 靴も脱ぎ散らかしたままリビングへと向かい、エアコンの暖房を入れて室内を温め始める。段ボールをフローリングの床に置いたリヴァイはさっきよりもグッタリした猫の姿に驚愕した。

「おい。どうした?」

 猫は荒い息づかいのまま辛そうに横たわっている。そっと触れてみると、雨で濡れていたとはいえ体が異様に低下していた。

「くそっ―――」

 リモコンを手に取り室内の温度設定をさらに上げる。クローゼットから毛布とタオルを取り出してきたリヴァイは、冷えた仔猫の体についた水分を丁寧に拭った後、毛布でくるめた。額に手を当ててみると、もともと体温が高めである子どもでも異様なほどの熱さを感じた。

「熱もあるのか――」

 人間用の解熱剤なら常備しているが、貴重種の猫となると与えることさえ躊躇われる。しかし背に腹は代えられない。リヴァイは苦虫を潰したような顔をしながら、スマートフォンを手に取る。ブルルルと比較的短い呼び出し音でその人物は応答した。

「なーにリヴァイ?迷子にでもなったぁ?」
「ハンジ、てめぇの家にいるのは確か貴重種の猫だったよな?」
「ソニーとビーンのこと?何よ、さっきはたかがペットって散々馬鹿にしていたくせに。」
「仔猫の体温が下がって熱がある。息も苦しそうだし、意識も朦朧としている。どうすればいい?」
「え?何……仔猫飼ってるの?まさか、面倒くさがりのリヴァイが?」
「一刻の猶予もねぇ。とにかく対処法をサッサと教えろ。」

 ピシャリと言い切るリヴァイの声がよっぽど切羽詰まっているように聞こえたようだ。ハンジはからかうのをやめてうーんとうなりながら考え込んだ。

「猫の解熱剤は医者に処方してもらうしかないよ。この時間じゃ開いてないだろうけど、近くに動物病院はない?」

 そういえばとハっと思い出す。いつも通っているコンビニの道すがら動物病院があったはずだ。リヴァイはハンジとの通話を無理矢理切り、濡れたスーツを着替える間も惜しんで仔猫を毛布にくるんだまま、まだ強い雨の降りしきる夜の街へと再び飛び出していった。

「ここか……!」

 シガンシナ動物病院と看板がある建物は当然のことながら真っ暗で静まり返っている。リヴァイは何とか出てくれと玄関横にある呼び鈴を何度も鳴らした。しばらくは反応がなかったが、あまりのしつこさに観念したのか、パッと明かりが点けられた。

「――どうしたんです?この時間に?」

 いまは深夜の一時すぎ、不機嫌そうな顔で出てこられても仕方のないことだ。しかし、リヴァイが抱きかかえる仔猫の姿を見た獣医は息を呑み込んだ。

「貴重種の猫……?随分と弱ってるじゃないか。一体どうしたんだ?」
「さっき拾った。この雨の中捨てられていたみたいだ。」
「すぐ中に入ってください。」

 獣医が診察室へと案内する。診察台に乗せると仔猫の呼吸が段々弱くなっている気がして焦りが生じ始めた。

「解熱剤を注射します。暴れる元気すらないと思うが、抑えていてくれますか?」

 リヴァイは獣医の言うとおりに仔猫の上半身を手で固定する。獣医が用意したのは小さい体の割には太い注射針。内心シヤリとしたものの、仔猫は少し顔を顰めるだけで抵抗はしてこなかった。

「しばらくは水分をまめにやって、温かい場所で安静にさせるように。できれば週明けにまた来てください。」

 あとは仔猫の生命力次第だと言われ、薬をもらったリヴァイはそのまま家に戻ることにした。ちょうどいいサイズの段ボール箱があったのでそこに毛布を重ねて敷き、空調の温かい空気が当たる場所に仔猫を寝かせる。
 獣医が貸してくれたスポイトのようなものでリヴァイは仔猫に水を与えると、よっぽど喉が渇いていらしく小さな舌をピチョピチョと動かしながら仔猫は一生懸命水を飲み始める。リヴァイはホッと胸を撫で下ろした。

「大丈夫だ……薬も打ってもらったし、ゆっくり休め。」

 仔猫は一回顔を起こし、リヴァイの顔をうつろな目で見つめると安心したようで体を丸めて眠りに入る。その一つ一つの動作がぎこちなくて、ハラハラしてしまうリヴァイは思わず手を出しそうになるが、グッと堪えてそのまま見守ることにした。
 息はまだ荒いながらも仔猫が寝ついたことを確認したリヴァイは湿りきった衣服を脱ぎ、熱いシャワーを浴びる。さすがに自分自身の体も冷え切ってしまっていたようだ。いつもより厚着をして、すぐに仔猫にいるリビングに戻ってみたが、さっきと変わらない様子で眠っていた。

「目を離すわけにはいかねぇな……」

 様子を見ながら仔猫の世話をするには寝室ではなく、リビングにいた方がいい。リヴァイは自分のベッドの掛布団を持ち出し、ソファで仮眠を取ることにした。

「ニャー……ニャァ……」

 やっぱり気になって眠りが浅かったのだろう。仔猫のかすれた声にリヴァイは目を覚ます。時計を見ればまだ午前四時。明かりをつけると、仔猫が何かを必死に訴えるように泣き続けていた。

「もしかして水が欲しいのか?」

 まめに水分を与えるように言われていたので、すぐ横に用意していた水飲みを使って仔猫の口元へ先端を差し出す。どうやらアタリだったようで、仔猫はすぐに飛びついてきた。
 抱きかかえてやると、だいぶ体があったまっている。顔色はいまだ青白いままだが、それでもさっきよりは力強く水を飲んでいるようにリヴァイには見えた。病院から帰ってきて最初に水をやってから三時間程度。まだうまく水を飲めないこの仔猫にはこのスパンで水を与えなければならないようだ。
 満足いくまで水を飲んだのか、仔猫は今度は自分の腕や手をぺロペロと舐め始める。その後、リヴァイの膝の上で体を丸めて寝ようとしていた。いまは根気よくこれを繰り返すしかないのだろう。この週末は仕事がなくて本当によかったとリヴァイは胸の内で安堵した。
 だったら自分も少しでも仮眠を取ろうと仔猫を段ボール箱に戻そうとしたリヴァイの腕に、無意識なのかがっしりとしがみついてしまっている。無理矢理引き離すわけにもいかずリヴァイはどうしたものかと額に手を当てた。

「まぁ一緒の方があったまるか……」

 確かに熱を冷ますには人の体温で温めるのもいいのだと聞いたことがある。リヴァイは仔猫を抱いたまま体を毛布でくるみこみ、ソファに横になる。胸元あたりでまだ小さな体を抱えこむと、母親と勘違いをしたのか、喉をゴロゴロと鳴らしながらリヴァイの顎のあたりをペロペロと舐めはじめた。

「おい……こら……くすぐってぇ……」

 一生懸命舐めてくる仔猫は春の陽ざしのような匂いをしていてとても心地よく感じてしまう。あまりにくすぐったいのでいい加減押しのけようとしたがそれでも止めようとしない。
 生まれたばかりで冷たい雨の中に捨て去られてことで生じた寂しさを払拭しようとしているのかもしれない。ザラザラとした舌の感触に多少の痛みを感じるのをリヴァイは我慢した。

「ったく……もういいから。寝ろ……」

 頭を何度か優しく撫でてやる。安心したのかしばらくするとさっきまでと違い、スヤスヤという安らかな寝息が聞こえてきた。ここに来てようやく薬が効いてきたらしい。仔猫の温かさが逆にリヴァイを包み込もうとしていた。

『誰かの温かさを感じながら寝るなんて一体何年ぶりだ?』

 リヴァイには生まれながら父親はおらず、母親の手一つで育てられた。リヴァイを育てるために、朝早くから夜遅くまで働いていた母親は過労で倒れ、リヴァイが小学校にあがる前に病気で亡くなってしまったのだ。
 当時、近くに身寄りもおらず施設に預けられていたリヴァイは他人と接触することをなるべく避けながら成長した。リヴァイが唯一心から信頼のできる相手といえば、大学時代に知り合ったハンジとOBでいまは会社の上司でもあるエルヴィンの二人くらいだ。
 ハンジあたりに言わせればクソつまらない人生を歩んでいるのかもしれないが、一人身の方が余計な気を使わなくて済むので、特に不満などはなかった。ましてや他人と生活をともにすることなどまったく想像ができない。

『なんだかこいつすげぇ気持ちいいな……猫ってみんなこんなもんなのか?それともこいつだからなのか?』

 ペットなど緑のなかったリヴァイにはよくわからないが、すごく穏やかな気持ちになれるのは確かだ。
 柔らかな温もりをした生き物――このときリヴァイの中で経験したこともない、いや、もしかしたら懐かしいのかもしれない新たな感情が生まれようとしている。
 それが一体何なのか――このときのリヴァイはあえて追求しようとはしなかった。





  第二章 はじめての・・・


 ジリジリジリジリジリ―――
 耳元で目覚まし時計がけたたましく鳴り響く。重い瞼を開けられぬまま、リヴァイは時計のスイッチをオフにした。

「朝、か……」

 胸元にある小さな温もりも目覚まし時計に叩き起こされたらしく、もぞもぞと動き出していた。埋めていた顔をチョコンと上げると、獣の耳がピンと伸びる。

「起きたか?エレン……」

 優しい声で呼ばれ、寝惚けた顔のままエレンが微笑んだ。

「り…ばい……さん……もぅ……あさ?」
「おはよう、エレン。」
「おはよう…りばい、さん……」

 まだ眠たいのかなかなか開かない目を小さな手で何度も擦る。耳と尻尾の先をピクピクと動かし、小さなエレンの体も起き出そうとしていた。
 リヴァイはベッドから抜け出して、リビングへと向かう。エレンはまだ意識をボーっとさせながら、リヴァイの後ろをついてくる。エレン専用のクローゼットには、リヴァイが揃えた貴重種猫用の衣服が揃っていて、その中から着替えを出してやった。

「これに着替えてパジャマは洗濯機に入れておけ。」
「うん!」

 エレンがノロノロした動作で着替えているうちに、リヴァイはキッチンでエレンと自分用の朝食を用意する。貴重種猫用の食事は既成品が充実していて温めれば済むだけのものが多いが、人によっては猫の食事も手作りしている。
 そのためリヴァイは休日を利用して、エレン用の一週間分の食事を作るようにしてなるべく既製品の食事を使わないようにしてみた。冷蔵庫には小分けしたエレン用の食事のタッパーがぎっしりと詰まっている。一番上にあったタッパーを取り出すと、エレンの好きな鶏肉を使ったクリームスープだった。

「エレン、できたぞ。」

 スープを皿に盛りつつ、キッチンから声をかけるリヴァイ。ちょうど着替えが終わったばかりらしく、トテトテと可愛い足取りでエレンがやってきた。

「りばいさん、ひとりできがえできた!」
「よし、偉いな。エレン。」

 リヴァイが頭を撫でると、エレンはこれ以上ないほどの満面の笑みを浮かべるのがあまりにも眩しくて仕方ない。
 最近は着替えでも何でも一人でやろうとするので、リヴァイはエレンの意志を尊重し、見守ることにしているのだ。エレンはリヴァイに褒められたい一心でがんばろうとする姿が何とも可愛らしい。
 ここまで可愛いとたまに意地悪をしたくなってしまう自分はつくづく悪い大人だなと内心呆れてしまう。

「だがなエレン。まだ靴下を履いてないようだぞ?」

 リヴァイがエレンの足元を指差す。素足のままで来たことがバレたエレンは気まずそうな顔へと変わっていった。

「うっ……わ、わすれてただけだもん!」

 強気な言い訳をしてエレンは戻っていく。それからまったく足音が聞こえてくる気配すらない。朝食の準備を終えてしまったリヴァイはエレンを迎えに行くことにした。

「エレン―――」

 エレンは床にコロンと転がったままなぜかジッと固まっている。やっぱりなとリヴァイは口元を綻ばせた。

「エレン、手伝ってやろうか?」

 助け舟を出すと、エレンはリヴァイに背中を向けたままビクっと肩と尻尾を震わせる。

「ひ、ひとりでできるもん!」
「そうか。ならいいが……」

 それから沈黙の間、約三十秒――どうにもできず依然固まったままのエレンにリヴァイはもう一度声をかける。

「エレン……」
「ひ、ひとりでできる……ふぇっ……」

 最後は涙声でグシャグシャになってしまう。リヴァイはエレンの体を優しく起こして寄りかからせる。止まったままのエレンの手に自分の手を添えて靴下を履かせてやった。

「りばいさん……ご、ごめんなさい……」

 自分でできなかったのがよっぽど悔しかったらしい。ブワっと涙を溢れさせながら、エレンは声を窄ませる。リヴァイはエレンの肩をポンポンと優しく叩いた。

「何でもかんでもすぐにできるわけじゃねぇ。ゆっくり時間をかけて覚えればいいんだ。」
「うん……ありがとう、りばいさん。」
「朝メシができている、行こう。エレン。」

 エレンがリヴァイの家で暮らすようになってまもなく半年になろうとしている。暑かった夏も終わり、ようやく秋めいた風が頬をくすぐるようになっていた。
 フードの付いた長袖のポロシャツにゆったりとした膝丈までのパンツ姿。人間用の服と唯一違うのは、尻尾の通し穴があるかないかというだけだ。
 トットットっと軽い足取りでリヴァイの後ろをついてきたエレンは皿に盛られたクリームスープを見て、大きな目をさらに大きくしながらキラキラと輝かせた。

「くりーむすーぷ!」
「お前、これ好きだろ?」
「だいすきっ!」

 エレンはコクコクと大きく首を縦に振る。お腹もちょうど空いていたらしく、グーという音がリヴァイの耳にまで届いた。
 テーブルに二人分の食事を置き、リヴァイはエレンの向かい側に座る。専用のスプーンはあまり細かい作業ができない貴重種猫のために、人間のものより比較的大き目に作られていた。

「いただきます!」

 食事の前に挨拶するのもリヴァイが教えたことをエレンは欠かさずやるので飲みこみはいい方だ。きちんとスープをスプーンに掬い上げて不器用な動作ながらも少しずつ口に運んでいく。

「りばいさんのすーぷ、とってもおいしい!」

 口の端にスープをつけながらエレンはうれしさを口にする。リヴァイはそうかとだけ言って紅茶のカップに口をつけるが、内心うれしくて仕方なかった。
 幼少期を施設で過ごしたこともあり、リヴァイはひととおり家事はできる。だが、自分だけの食事を作る気にはならず、たいていはコンビニなどの出来合いのものか外食で済ませていた。
 だからこうしてエレンの食事を作るために、週末キッチンに立つことでさえ自分でも驚きなのだが、何より自分の作った食事を「美味しい」と喜んでくれるエレンの笑顔がとても可愛くて、眩しくて、また見てみたいと思ってしまうのだ。
 貴重種猫用の食事は人間と違って、同じスープでも味つけはとても薄いし、使ってはいけない食材や調味料に気をつけなければならない。リヴァイがエレンのために手作りの食事を作ろうとしたきっかけも、定期購読している貴重種猫の雑誌「にゃんのきもち」でちょうど食事が特集されていたていたのをたまたま見たエレンがこれを食べてみたいと言ったのがこのクリームスープだったのだ。
 そのときのエレンがあまりに食べたそうだったので試しに一度作ってみたら、いまのような笑顔を向けられてしまい、それからというもの、エレンの食事は手作りするようになった。
 そのことはハンジに隠していたのだが、この前押しかけられたときにエレンがポロっと喋ってしまい、翌日には会社中に広まってしまっていた。エレンを飼うようになってからというもの、職場の同僚や部下からはリヴァイに対する印象はすっかり変わっているようだ。

『多少不本意なところはあるが、それでも……』

 リヴァイはエレンをチラリと見やる。エレンはスープに夢中になりながらも、スプーンで礼儀正しく食べている。これもリヴァイの教えの賜物だ。

『誰かと食事することがこんなにも楽しいものだとはな……』

 朝から穏やかな時間が流れていく。もともと朝ごはんなど食べたことのないリヴァイだったが、エレンが来てからは一度も欠かしたことはない。自分の変わりように驚くとともに、心が癒されるのを素直に受け止めていた。
 食器洗浄機をセットし、リヴァイは着替えを始める。鏡を見ながらネクタイを締めていると、クイっと下から服を引っ張られた。

「――どうした?エレン。」
「りばいさん、きょうもおしごとなの?」

 エレンが上目使いで見つめててくる。朝はいつもこうだ。リヴァイは困ったような笑みでエレンの小さな頭をクシャリと撫でた。

「今日も早く帰ってくるつもりだ。何かあったらこれで連絡しろ。」

 リヴァイはエレン用の電話を持たせていた。貴重種猫は一時爆発的なブームになったこともありさまざまな便利グッズが開発・販売されている。これもボタン一つでリヴァイのスマートフォンに繋がるよう設定されたものだ。

「うん……」

 エレンは視線を伏せて、沈んだ声で返事をする。生後半年で見かけは人間でいうと十歳くらいまで瞬く間に成長したエレン。だが中身はまだまだ子ども、唯一の飼い主であるリヴァイが不在となる平日の日中は寂しいのだろう。
 リヴァイはこうして毎朝胸が締めつけられる思いをする。後ろ髪をずるずると引き摺られたままいつも家を出るのだ。

「エレン……」

 これが自分なのかと思うほど優しい声でリヴァイはエレンの名前を呼ぶと、エレンの小さな体がビクリと震えた。エレンもリヴァイを引き止めていたいけないことは十分わかっているようだ。掴んでいるシャツの上着を掴んでは離しというのを繰り返していた。
 リヴァイはしゃがみこんでエレンを抱きしめる。エレンも耐え切れずリヴァイの胸に飛び込んできた。

「りばい、さん……」
「すまねぇな。エレン……」

 するとエレンはリヴァイの胸の顔を埋めながら、フルフルと首を横に振った。

「ごめんなさい、りばいさん……りばいさんがよるにはかえってくるってわかっているのに、どうしてもがまんできなくて……!」
「俺こそすまない……寂しい思いをさせることが多いってわかっているんだが、ダメだな……」

 エレンはようやく顔を起こし、涙目でリヴァイを見つめながらさっきより強く首を横に振って否定してきた。チリンチリンと綺麗な鈴の音が聞こえる。リヴァイがエレンにプレゼントした真っ赤な色をした首輪はとてもよく似合っていた。

「りばいさんあやまらないで……オレ、もっとつよくなるから……りばいさんをこまらせないように……つよくなる!」

 まだ幼いのに背伸びしようとする姿はやかり可愛い。泣かせているのに不謹慎なことを考えてしまう自分をリヴァイは戒めた。

「さっきも言っただろう?そんなに焦らないでいいエレン。ゆっくり大人になればいいんだ。」
「でも……」
「お前が早く成長したら俺が戸惑っちまうだろうが。あまり俺を驚かさないでくれ。」

 どうも納得がいかないらしく、エレンは少し赤らんだ頬をぷぅっと膨らませながら唇をキュっと噛みしめている。リヴァイはエレンの肩にポンポンと二回ほど叩いてから立ち上がった。腕時計を見てみると針は八時を差していて、リヴァイにタイムリミットを告げていた。

「それじゃ行ってくる。エレン。」

 鞄を持ち、玄関へと向かうリヴァイ。靴を履いていると、背後に近づく気配を感じた。

「りばいさん、いってらっしゃい……」
「あぁ、留守番頼んだぞ。」
「りばいさん……」

 クイっとエレンが上着を引っ張る。どうしたのかと身を屈めたリヴァイの頬にエレンはしっとりとした唇をチュッと当ててきた。

「お、おいエレン……」

 いきなりの不意打ちをくらい、リヴァイは年甲斐もなく顔が熱くなっていくのを感じる。反面、エレンは穢れを知らない無邪気な笑顔でいってらっしゃいと力強くリヴァイを見送った。
 ドアを閉めると、オートロックの鍵がかかる音がする。リヴァイは玄関のドアの前に立ち尽くしたまま火照った顔を沈めるのにしばしの時間を要した。

「あのガキ……人の気も知らねぇで……」




第三章 家族になろう


 オレの名前はエレン。人間の姿をした貴重種と呼ばれる猫だ。獣医医のハンネスさんによれば、オレはもうすぐ一歳になるらしい。
 貴重種の猫は生まれてから一年の間に急激に成長するのが特徴だ。生まれたての赤子が人間でいう十五歳くらいにまでなり、その後は人間とあまり歳のとり方はさほど変わらなくなって寿命は三十年から四十年と言われている。
 そのためかは貴重種の猫は人間にとってペットというより家族同様の存在となる一方、飼い辛さもあるらしい。だからかオレは生まれてすぐにゴミ捨て場に捨てられていた。正直、嫌だった思いばかりが先行して前の飼い主がどんな人だったのか、顔さえ覚えていない。
 そんなオレを拾ってくれたのが、いまの飼い主のリヴァイさんだ。リヴァイさんはちょっと近づきづらい顔をしているせいもあって、最初は怖かったけれど、死にかけたオレを助けてくれた恩人。そしてオレに所有の証である、綺麗な音がする鈴のついた首輪をプレゼントしてくれた。そしてオレはリヴァイさんのペットになったんだ。
 オレはリヴァイさんのことが大好きだ。リヴァイさんはオレのことをいつも一番に思ってくれて、そして大切にしてくれている。
 「仕事」に行っている間、オレは家で独りぼっちだけど、寂しい思いをすることは一度もない。なぜならリヴァイさんが家に帰ってきたら思いっきり甘えさせてくれるからだ。
 リヴァイさん以外何もいらない。半年に一度訪れる発情期のときだってリヴァイさんがオレをすべて満たしてくれる。メス猫が欲しいなんでただの一度も思ったことがない。
 リヴァイさんもきっと同じ気持ちでいてくれる――オレはそう願っていた。

 *    *     *

 ヒヤリとした冷たい空気が耳は頬を撫でる。エレンはゾクリと寒さに体を震わせると同時に、虚ろな意識を浮上させていった。

「ん―――」

 重たい瞼を開けると、ほんの数センチの距離にリヴァイの寝顔があって一気に目が覚める。

「っ――」

 思わず声が出そうになるのをエレンは手で口を抑えた。すぐ間近でリヴァイがスゥッと静かな寝息を立てている。時計の針を見るとまだ明け方の四時。起こすのも悪いと悟ったエレンはそのまま息を潜めながらリヴァイの寝顔を眺めることにした。
 端正の唇から洩れる寝息。スッと閉じられた切れ長の目の睫毛は思ったより長い。リヴァイの顔を普段あまりじっくり見ることがないので、今日の自分は何だか得した気分だ。

『リヴァイさん、よく眠っているな……』

 いつもなら寝起きの悪いエレンより先にリヴァイがとっくに目を醒ましているというのに、今日は珍しい。リヴァイは最近仕事が忙しいらしいのだが、なるべく残業しないようにしているのだと先週末家に遊びに来たハンジがポツリと零していたのをエレンは思い出す。
 ここ数日はセックスをした後もすぐに眠りに落ちているようだ。やはりリヴァイはよっぽど疲れているのかもしれない。エレンは何となく申し訳ない気持ちになり、シュンと耳を伏せた。

『リヴァイさん……オレのために無理してるんじゃないかな?』

 気持ちが沈みがちになりそうなるエレンの体を包んでいたリヴァイの腕がギュウっと引き寄せてくる。エレンは目をパチパチさせ、思わず声をあげそうになった。

「どうした……エレン?」
「リ、リヴァイさん?起きてたんですか?」
「お前が目を醒ます前から起きていたが……?」

 騙されたと気づいたエレンは頬をプゥっと風船のように膨らませ、さらに口まで尖らせて抗議をした。

「リヴァイさんの意地悪……寝たフリをしていたんですね……」
「俺が寝ていたらお前がどんないたずらをしてくるのかと思って楽しみにしていたんだが……?俺の顔見ながらニヤニヤしたり落ち込んだりしやがって。」
「リヴァイさん、最近疲れている様子だったし……それにいたずらなんて最初からしようとなんて思いません!」

 リヴァイのことを心配しているのに、いつまでも子猫扱いされるのが癪に障る。エレンは腕の中でクルリと体を反転させ、リヴァイに背中を向けた。
 リヴァイはエレンの体をさらに引き寄せ、獣の耳の裏側をペロリと舐め上げる。不意打ちをくらったエレンは甘い声を漏らしながら背筋をゾクゾクとさせて震え上がった。

「エアコンつけ忘れたな……エレン、寒い……あっためろ。」
「だったらエアコンつければいいじゃないですか。」

 自分でも可愛くないことを言っているのはとっくに自覚している。エレンはわざととぼけたフリをしてベッド横に置いてあるエアコンのリモコンに手を伸ばそうとしたが、案の定阻まれたあげく軽々と体を持ち上げられる。

「あっ―――!」

 フワっと浮いた体はそのまま背中からベッドに沈むこむ。首輪の鈴がチリンチリンと音を鳴らした。すぐさまリヴァイがエレンの上に覆いかぶさってきた。

「ちょっと……何なんですか、いきなり!」
「エアコンなんかよりもっとてっと早く温まる方法はあるだろう?」

 リヴァイは舌なめずりとしながら、昨日自らがエレンの胸元に刻んだ赤い痕に唇を落としてくる、

「あぁっ――――」

 昨晩あんなに熱く火を灯らせた場所を強く吸われ、ジクジクと疼き始める。そこから全身に痺れが伝わり、エレンは甘い声を漏らしながら顎を仰け反らせた。
 薄くなりかけていたいくつもの肌の痕を辿るようにリヴァイが新たな熱を与えていく。拒まなければと理性が強く働きかけるのに、腕に力が入らない。エレンは目に涙を溜めながらリヴァイに訴えた。

「だ、ダメです……昨日散々したのに…それに、リヴァイさん疲れているんでしょ?」
「そんなこと誰に聞きやがった?あぁ……クソメガネか……ったく余計なこと言いやがって。」
「オレ寂しくても我慢できるから……リヴァイさんが病気になる方がいやです。」

 だから自分のために無理しないでほしい――消え入りそうな声でエレンはひとりごとのように呟いた。リヴァイはクスリと口元を綻ばせ、前髪をあげたエレンの額にキスをした。
「余計な気づかいだったな。俺がお前としたいだけなんだが?それにお前と触れ合った方が元気が出る。」

「でも………」
「わざと焦らして俺を飢えさせるつもりか?エレンよ……」
「ち、違います!オレだってリヴァイさんがオレのこと求めてくれるのがうれしいし……」
「だったら、余計なこと考えるんじゃねぇよ……それに、今日は土曜日、仕事は休みだ。」

 あまり曜日の感覚がないエレンは今日が土曜日、リヴァイの仕事が休みだということがすっかり頭から抜けていた。ずっと一緒にいることができる楽しみな週末が訪れたことにエレンはうれしさで胸がいっぱいになった。そうであるなら抵抗する理由などどこにも見当たらない。エレンは両手をリヴァイの背中に回した。

「ごめんなさい、リヴァイさん……オレも本当はリヴァイさんのこともっと欲しい……だからオレのことあっためて?」
「もちろんだ。」

 リヴァイがニッと笑みを浮かべる。艶めいた視線に射抜かれただけで、エレンの下半身の熱がますます上昇していく。シーツの擦れる音がしたかと思うと、リヴァイは体を下にズラしながらエレンにキスの雨を降らせていった。

「んんっ………」

 つい数時間前まで熱に浮かされたせいもあって、体はいまだ感じやすくなっているらしい。

「お前は感じると尻尾をピクピク震わせるからわかりやすいな。」
「そ、そうですか?」
「あぁ……それに……」

 リヴァイの手が後ろへ回される。尻尾の真下、形のいい尻の割れ目へと指を滑りこませてきた。

「あぁっ……!」

 下半身の奥でグチュっと水音がして、羞恥心が一気に沸き起こる。エレンは顔を真っ赤にさせながら、リヴァイの肩に掴んだいた指の爪を立てた。

「すまねぇな……昨日あのまま寝ちまったから残ってたか。」

 いつもなら事が済んだ後、リヴァイはエレンの体を綺麗にしてくれる。しかし昨晩はもう数え切れない回数の絶頂を迎えた後、リヴァイはエレンとともに意識を沈めてしまったようだった。
 エレンは頬をほんのりと赤く染め、小さく首を横に振った。

「いいんです。というか逆にうれしくて……オレの中にあるリヴァイさんの精液、いつも掻きだされるのが少し寂しかったから……」
「ったく……てめぇは……あまり俺を煽るんじゃねぇよ……」

 リヴァイがフイっと顔を横に逸らす。耳朶がエレンと同じように赤く染まっているように見えるのは照れている証拠だ。

「リヴァイさん……耳が赤い……」
「うるせぇ。少し黙りやがれ。」

 舌打ちされながら、リヴァイの少し乾き気味の唇に塞がれる。僅かな隙間からすんなりと入ってきた舌にいとも簡単に捕まり、絡み合う。「ふぅっ……んんっ、んんん――――」
 リヴァイの舌は熱くて、甘くて、貪れば貪るほど胸が熱くなってしまう。唾液が混ざり合い、さらに掻き回されて口の端から零れ落ちてきた。

『リヴァイさん、好き……大好き――』

 時間の経過も忘れて、リヴァイとエレンはお互いを求め合う。ひっそりと静まり返った部屋には漏れる吐息と、クチュクチュといった水音が響き渡っていた。
 どちらのものかわからない熱で頭がボーっとしてくる頃、ようやくリヴァイが唇を解放してくれた。エレンがうっとりと潤んだ目でリヴァイの顔を見つめていると、ピンと額を指で軽く弾かれた。

「ったく……ガキだと思っていたのがいまではすっかり、すげーエロい顔になりやがって……貴重種猫の成長は恐ろしいもんだな……」
「オレの顔……そんなにエロいですか?」
「エロすぎだ……おかげでこのザマだ。」

 リヴァイは妖しげな笑みを浮かべながらエレンの手を取り、自らの下半身に当てさせる。既にそこは剃り返るほどに勃ち上がり、固くなっていた。

「え……も、もうこんなに?」
「何を驚く?お前が散々俺を煽った結果だろうが……ほら、しっかり触ってみろ。もっと大きくなるぞ」

 エレンの手に自分の手を重ね、リヴァイが上下に動かし始める。エレンの掌が擦る度、昂ぶりが固く、さらに太さを増していくのが直にわかった。

「あ……すごい…リヴァイさんのがどんどん大きくなっていく……」
「お前に触れられて興奮しちまっているだけだ……」

 そう言って再び唇を塞がれる。咥内をグルリと掻き回されて思わず動かくしている手に力が籠ってしまった。ドクンとリヴァイの昂ぶりが内から脈動をする。尖端からは先走りの蜜が零れて潤滑油となり、気づけばエレンの手だけがリヴァイの楔を扱いていた。

「んん、すごい……リヴァイさんのココ、グチョグチョなのにすごく熱くなってきている。気持ちイイ?」

 あらためてリヴァイに視線をやるとリヴァイの額からは汗が零れ落ちている。眉間に皺を寄せ、瞼を閉じるリヴァイは熱い呼吸を繰り返していた。

「感じすぎてやべぇくらいだ……」

 エレンはリヴァイの低い声を聞きながら、掌で包んでいるモノを物欲しげに目を細めた。
 早くこの熱の楔に奥のイイところを嫌っていうほど突かれたい。エレンの背筋に電流に似た痺れが駆け上がる。だが、いくら今日が休みとはいえ、昨晩もあれだけしてもらってやはり無理はしてほしくない。
 ジレンマに陥るエレンの脳裏にある閃きが走った。

「リヴァイさん……今回はオレが動きます!」
「エレン――?」

 リヴァイは一瞬、エレンが何を言っているのか理解ができなかったらしく、瞼をパチパチとさせた。

「だから、その……オレが動いてリヴァイさんのこと気持ちよくさせるので……リヴァイさんは何もしなくていいです!」
「なるほどそういう意味か……おもしれぇ。やってみろ、エレン。」

 リヴァイはベッドに背中をもたれかけ、両手を広げる。エレンはリヴァイの腰の上に馬乗りになり、天に向けてそそり立っている楔の先端を尻の割れ目にあてた。

「んっ―――」

 ゆっくりと、慎重に腰を降ろすと尻の割れ目が押し開かれていく。エレンの全意識がそこに集中してしまい、ふらつきそうになるのをリヴァイが優しく支えてくれた。

「自分のペースでいいから……」
「は、はい………」

 エレンは片手をリヴァイの肩に摘まり、もう片手を楔に添えながらジワジワと重力に従って沈む。蕾の中はまだ解れている上、昨晩の名残で中がぬるついていたおかげで、すんなりとリヴァイの楔を咥えこんだエレンは甘い啼き声をあげる。
 リヴァイは口の端を吊り上げながら満足そうに微笑んだ。

「んぁあっ、はぁ…あっあっ…んっくぅっ……んんっ―――」

 ニュプっという卑猥な水音が部屋に響き渡る。さすがの存在感で多少に圧迫はあるものの、ほとんど抵抗はない。しかし、自分から挿れるのは初めてということもあり、エレンは戸惑い気味にユラユラと腰を揺らしていた。

「どうした…エレン?まだ半分もいってねぇぞ?」

 手伝ってやろうかと、リヴァイが愉しげにエレンの腰を撫で回してくる。やたらとくすぐったい刺激により腰が深く落ちると、楔の先端がエレンのイイところに擦れて、ビクンと体が上下に跳ね上がった。

「っぁ!だめ、だって……さわっちゃ…リ、ヴァイ…さん…オ、オレ…が、やっる…だか…らぁ…」

 パシンと尻尾をムチのように打ってエレンは涙目で抗議をするがリヴァイには逆効果のようだ。

「仕方ねぇな…だったらこっちがお留守で寂しそうだから慰めてやるか?」

 リヴァイは微かに揺れるエレンの性器を掌で包み込む。溜まっていた蜜がジュっと溢れ、リヴァイの指の間を伝え落ちていく。下半身から電流が駆け抜け、エレンは背中を弓なりに撓らせた。

「んっ…!あっんああっ!まえ、もっ、だ、めぇ……んっ…あっ!」
「ダメだったらこんなに零してるコレは何なんだ?」

 リヴァイが聞く耳を持たず、溢れる蜜口に指をわざと押し当てて刺激を与える。反動でエレンの内壁はヒクつき、気がつけば根元まで呑みこんでいた。

59のコピーa400
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。