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SPARK新刊「美しき狂獣の刻」サンプル

COMICCITYSPARK10発行

東4ホールう27b MikenecoCafe

リヴァイ×エレン R18小説
美しき狂獣の刻
文庫/204P/900円/フルカラーカバー・帯付
カバー400


5月に発行したオメガバースパロ「美しき狂獣の檻」の続編(三年後のお話)となっています。
また、無料配布本「One year later」を加筆・修正して再録しています。
今回サンプルは8月イベント時に配布した予告本を加筆・修正した部分です。

なお、SPARK及び急襲壁博頒布にはノベルティで不敷布ブックカバーとしおりがつく予定です。
美しき狂獣の檻も上記イベントで頒布します。どちらも数に限りがありますのでよろしくお願いします。


【あらすじ】

抗えない運命なんてクソくらえだ


愛する番を守り続ける最強のアルファ・闇の王
真の力に目覚め翻弄される幻のオメガの少年
二人にとって最後の試練と選択の時が迫る…


アルファ・ベータ・オメガの遺伝子による階級差別からあぶれた者たちが集う「法外特区ウォール・マリア」を支配する闇の王・リヴァイは「幻のオメガ」という特別な遺伝子を持つ半人半獣と体を共有する少年・エレンと番になってから三年が経過しようとしていた。

最近発情期が来ても獣化エレンが表に出てこないことを不思議に思っていたエレンの前に、幼馴染のアルミンが突然現れ、さらには自分こそが「幻のオメガの真の番」だと名乗る黒髪の少女・ミカサがリヴァイへと襲いかかる。
 
またこれを機に、エレンの体にはある変化が訪れていた。
 
運命の歯車は最後の刻へと回り始めていく……


とらのあな予約→コチラ
また、美しき狂獣の檻も通販再開しています。→コチラ

 ※R18の内容のため、閲覧は自己責任でお願いします。 
 世界の均衡が崩れるとしたらほんの一瞬.並べられたドミノの一つに少しだけ触れればいい。
 そもそも平和だと思っているのは特権を持った連中のみ。遺伝子による差別を受けていた者たちは苦渋の日々を味わい続け、逆らうことのできないままその生涯を終えていくのがほとんどだ。
 アルファ・ベータ・オメガという三種の遺伝子のうち、どれになるのかなんてことは当然自分の意志で決めることなどできない。
 一部の限られたエリートになるのか、それとも厳しい戒律の中で家畜のように生きるのか。理不尽だが生まれながらにして人間の一生は決められてしまう。それがいまの世界なのだ。
 光のあるところには必ず闇も生まれる。肥大化した闇が光を呑み込むとき彼の者は再び目覚めた。
 幻のオメガ――すべての人間の素となる遺伝子を持つ幻のオメガは人間の生命の理さえ変えることができる未知なる可能性を秘めている。数百年に一度、現れるか現れないかの存在。
 幻のオメガを手に入れ世界を支配しようと企む者、いま保たれている調和を維持しようと画策する者、様々な思惑がはびこり、一歩間違えば世界中で争いが起きかねない事態にまで陥ったことがあったが、一人のアルファによって沈められた。
 闇の王と呼ばれる最強のアルファと幻のオメガは、世界が一目置く法外特区、ウォール・マリアに君臨していた。



~一年後~

 オレの番であるリヴァイさんは最強のアルファだ。
 混沌とした世界の闇が渦巻くウォール・マリアの頂点に立つ絶対的存在、闇の王――記憶がなかったオレは目の前に現れたリヴァイさんに身も心も、何もかも支配されていった。
 ついに見つけた、オレの番――リヴァイさんもオレを選んでくれた。愛の証を刻んだことでリヴァイさんはオレだけのものになったはずなのに……
 オレの中にいるもう一人のオレ、獣化エレンもリヴァイさんに惹かれているのが嫌というほどわかる。オレとあいつは一つの体を共有してはいるけれど、やはり別の存在なのだと時々自覚してしまうことがいまでもあって、唯一の悩みでもある。
 そう、特にリヴァイさんのことに関しては――

*     *      *

「ん―――もう、朝……?」

 朝の光が差し込んで瞼がやけに明るい。昨晩、エアコンのスイッチを入れ忘れたせいで、部屋の空気が冷え込んでしまっているのを肌で感じたオレはブルリと身を震わせた。

「リヴァイさん……?」
 すぐ傍にあるはずの温もりを求めて手を彷徨わせるが、虚しくも空を切るだけ。リヴァイさんは先に目覚めてシャワーを浴びているに違いない。
 ベッドからゆっくりと体を起こしたオレは何も纏わず素っ裸のままバスルームへ向かう。耳には段々とシャワーの音が聞こえてきた。

「エレンか?」

 オレが醸し出すオメガのフェロモンはやっと来るようになった発情期が終わっても、番であるリヴァイさんには感じることができるらしい。だからどんなに気配を顰めたとしてもリヴァイさんには無駄な行為といえる。

「リヴァイさん、一緒に入ってもいいですか?」
「どうせそのつもりだったんだろう?バスタブに湯も張れたところだ、さっさと来い。」

 オレは胸を躍らせながら扉を開ける。
 リヴァイさんの体にいつも見惚れてしまう。どこもかしこも引き締まった筋肉、そして厚くて逞しい胸板――昨晩、自分はどれだけあの体を求めてやまなかったのだろうと考えるだけで、火が点火されたかのように顔が熱くなってきた。

「あれ―――?」
「どうした、エレン?」

 よく大きいと言われるオレの瞳はある一個所に釘付けになって離れない。リヴァイさんが怪訝そうな顔をして固まるオレの方へと近づいてきた。

「リヴァイさん……その首筋、どうしたんですか?」

 オレは歯型のような痕がついている左肩をツンと指差す。リヴァイさんはしばらく考え込んでいたが、やがてあぁと言いながら何かを思い出したようだった。

「そういえば昨晩、思いっきり噛みついてきやがったな……」

 リヴァイさんの体に触れていい相手なんてこの世界でオレだけしかいない。ましてや素肌に痕をつけることなど……そのオレに記憶がないということは――

「あいつ、ですね……?」

 オレは不機嫌そうに顔を曇らせる。リヴァイさんはふぅっと呆れたような溜息をついた。

「まだ気にしているのか。どっちもお前だろう?」
「もちろんわかってはいるつもりです。でも、オレの体には昨晩リヴァイさんに愛された感覚がいまも残っているのに記憶がないところもあって……あいつがどんな風に愛されたのかと思うと、何かこう……どうしてもモヤモヤしてしまうんです。」

 つまらないヤキモチだと言われればそれまでで反論のしようがない。だが、番になって一年以上経ったいまでもこれだけはどうしても譲れないでいる。
 オレは望んで獣化エレンと一つになった。いまさらそれを後悔しているわけではない。オレ一人だけだったらリヴァイさんに出会えることなく、あのとき、崖から海に落ちた時点でとうに死んでしまっていただろう。死にかけていたオレに救いの手を伸ばしてくれた獣化エレンに寧ろ感謝しているくらいだ。
 だからこそこれ以上拗ねている顔を見られたくなくて、心が葛藤したままソッポを向くオレをリヴァイさんが濡れた体のまま抱き締めてくれた。

「本当にお前はいつまで経ってもガキだな……」
「だってオレには獣の耳や尻尾は生えていないし……それに、あいつの方がオレよりセックスが上手そうだし……リヴァイさんだって、オレよりあいつとの方が気持ちイイのかなって、考えてしまうんです。」

 嫉妬の言葉をリヴァイさんにぶつけても仕方ないというのに……自分が情けなくなり、キュっと唇を噛みしめた。

「俺はどっちがどっちだとか特段区別なんてつけてねぇぞ?」
「リヴァイさん……」
「お前、獣化エレンのときはわざと見ないよう、感じないようにしているんだろ?」
「浮気現場目撃している心境になりそうだから……」

 最初の頃は入れ替わっているときの記憶はほとんどなかった。だけどリヴァイさんと出会って、失われていた過去の記憶を取り戻してからというもの、獣化エレンになっているときも意識を共有できるようになったのだ。

「そんなに言うのなら一度試してみたらどうだ?俺はどちらのエレンだろうが変わらず愛しているつもりだからな。」

 まさかリヴァイさんがここまで言ってくれるとは思わず、不意打ちをくらったオレは体中を林檎のように真っ赤に染め上げた。番になってからというもの、リヴァイさんから注ぎ込まれる愛が半端なくて時々どうしていいのかわからなくなってしまう。うれしくてたまらないというのに、戸惑ってしまって素直に喜べない。

「だったら……」

 オレは両膝をつき、柔らかな芯を持ち始めたリヴァイさんの一物を両手で包み込んだ。

「あいつ、いつ出てくるかわからないけど、オレの不安がふっきれるというなら試してみたいです。」

 リヴァイさんが口の端を吊り上げたのを確認したオレは躊躇うことなく口に含んだ。
 さっきまで体を綺麗にしていたせいもあってか石鹸の香りがするが、それに紛れて自分にしか感じることができない、リヴァイさんの雄の匂い――フェロモンに全身の血が沸騰した。

「っ……なかなか、上手くなってきたじゃねぇか……」

 声をくぐもらせるリヴァイさんはすぐに反応し、猛々しい熱の楔となってさらにオレ好みの固さ、大きさへと変化していく。指と舌で感じて興奮が冷めやらず、オレの浅ましい下半身の奥から熱いモノが中を伝っていくのがわかった。

『早くコレをオレの中に……グチャグチャにしてほしい……』

 発情期はこの前終わったばかりだというのに、毎晩のようにリヴァイさんを求めてしまう。それでもリヴァイさんは拒むことなく、オレを大きな温もりと包み込んでくれる。
 だからなのか――リヴァイさんに対する気持ちが出会った頃、そして番になったばかりの頃に比べていまの方がはるかに大きくなっている。「好き」や「愛している」では諮り知れない、より強い気持ちと絆で繋がっているのだ。
 もしリヴァイさんがオレの前から消えてしまうようなことがあったらどうなってしまうのだろう――自分勝手な想像で気持ちが沈んでいくオレの顔は強い力で上げられた。

「またグダグダと余計なこと考えてやがるな?エレン――」
「ごめんなさい――幸せすぎると、時々不安になってしまうんです。オレももっと強くならないといけないのに……」

 そうだ――何のためにあれほど呪った【幻のオメガ】の力を残したのか……
 リヴァイさんと番の証を刻んだとき、オレと、獣化エレンは選択したんだ――
 オレはあなたを守りたい―――
 あなた以外何もいらない――
 邪魔をする奴は何者だろうとこの手で――

「どうした?エレン。」
「リヴァイさん、やっと思い出しました。オレがいまここにいる意味を――」
「自覚するのが遅せぇんだよ、お前は――」

 リヴァイさんの唇が重なる。リヴァイさんのキスは甘くてもっと、もっと欲しくてたまらなくなる。クチュクチュとお互いの舌と唾液を絡め、貪り合うだけで時間の経過も忘れてしまう。
 オレは壁に手をつきリヴァイさんの方に大胆にもケツを突き出す。指で割れ目を広げて、リヴァイさんに奥をわざと晒した。入口からはトロトロと蜜が零れ出し、早くリヴァイさんが欲しくてヒクつかせているのを見せつけながら、猫なで声で強請った。

「リヴァイさん……早く、挿れて。」
「まずは昨日のやつを掻き出してやるから待ってろ。」

 発情期中は潤滑油やゴムをつける必要もない。昨晩何度も中出しされたリヴァイさんの愛液がオレの中に溜まってそのままになっている。まずはそれを出そうとするリヴァイさんの腕を、オレは首を振りながら掴んで阻んだ。

「いやです……このままでいいから……!お願いだから、オレの中にあるリヴァイさんの液、出さないで……!」
「エレン、お前……ったく、仕方ねぇ奴だな……まぁ、解す必要もねぇからいいか……」

 涙を浮かべながら懇願するオレに、リヴァイさんはようやく折れてくれた。リヴァイさんの下半身の楔はすっかり完勃ちしていて腹のあたりまで反り返っている。それを目の当たりにした瞬間、ドクンと左の胸が大きく鼓動した。

「はや、くぅ……リヴァイさんのソレでオレの中をいっぱい掻き回して―――」
「イイ顔してるな、エレン――欲情に満ちた獣だ。」

 いま自分の顔はどんなに淫らな顔をしているのだろう。ちょうど鏡が反対側だったので内心安堵した。オレは壁につく手の方へと体の重心を置き、小刻みに腰を揺らしながらそれが入ってくるのを待ち侘びた。
 ズン――リヴァイさんが強引にオレの中へと押し入ってくるこの瞬間は好きでたまらない。オレは歓喜に満ちた声で叫んだ。

「あぁっ、あっ、あぁぁぁ―――」

 リヴァイさんの圧倒的な存在感がジワジワとオレを支配していく。頭が真っ白になり、一瞬でイキそうになってしまう。オレは絶頂の声を上げながら内部を引き絞り、前からは噴水のように白い欲望が勢いよく吹き出す。
 最奥まで一気に突き上げられ、奥をゴリゴリと擦られる。内壁の襞はリヴァイさんの楔の形をよくわかっているようで隙間なく呑み込んでいる。圧迫感は多少ある程度で、痛みなど最初からない。リヴァイさんの動きに合わせてオレは腰を押しつけた。

「ハッ……本当に解す必要なかったな、エレンよ……」
「んんっ、……はぁっ……すごい、もっと奥きてぇ……」

 オレの腰は自然に動いて敏感に感じる部分をもっと突いて欲しいのだと強請り始める。
 リヴァイさんの腰はさらに低くなり、深くて大きい動きへと変わってきた。

「すげぇ…お前の中、熱くてクソたまらえねぇな……俺をここまで翻弄させるのはお前だけだ。」
「んんっ……オレがこんなのは全部、リヴァイさんのせい…だからぁ……あぁぁんっ」

 グチュっ、グチュ――肌と肌がぶつかり合う音に紛れるこの水音は昨晩の愛の証によるものなのかどうかもわからない。だが確実にオレの耳を犯していく。
 好き、リヴァイさんのことが好き―――
 気持ちが溢れ出して止まらない。大きくなりすぎて破裂してしまいそうになるオレの意識に、あいつが呼びかけてきた。


『エレン―――』
「悪い……オレとお前、二人でリヴァイさんのことを愛するんだってわかっているのに……」
『オレモ妬イテタ――』
「え……?」

 獣化エレンは尻尾の先を左右にブンブン振りながらオレに視線を合わせまいと彷徨わせている。オレはおかしくて思わず噴き出してしまった。

「ぷっ……あははははははっ」
『エレン?』
「ごめんごめん。オレ自分のことばかり考えてたんだな……でももう大丈夫だ。エレン……」

 オレは獣化エレンに手を差し伸ばした。二人が一緒になったあのときと同じように――

「オレたち二人でこれからもリヴァイさんのことをいっぱい愛し、そして愛されよう――五百年の孤独を埋め尽くすほどに……」


 再び意識を浮上させたオレの体は獣の耳と尻尾を生やした黄金色の獣をした人の姿へと変わっていた。

「リヴァイ、リヴァイ……!」
「可愛いな、エレン……俺だけのもんだ」

 リヴァイさんの目はいつもオレに向けてくれるものとやはり変わりはない。耳と尻尾も使って強請り続ける獣化エレンに応えるようにしてリヴァイさんは執拗に奥を突き上げてきた。

「フゥッ、ンンンッ――――アァ、アァッ……!」
「っ……たく、相変わらず絡みついて離さねぇな……ちっとは手加減しやがれ……」
「イヤッ……モット、欲シイ……リヴァイっ!」
「てめぇが欲しいのはココだろ?」

 最奥にある部分を先端で突かれ、グルグルと円を描くように捏ね回される。そこから電流が頭のてっぺんや手足のつま先にまで伝わり、獣化エレンは全身を大きく震わせて絶頂を迎えた。

「アァァァァァっ―――」
「馬鹿っ……まだ早ぇよ…キツくてイっちまうだろうが……」

 普段は余裕がないので見ることもなかったが、リヴァイさんの額に汗の粒が浮かんでいるのがわかる。あぁ、リヴァイさんも余裕がないのか――最強のアルファと言われるリヴァイさんのこんな表情を見ることができるのはオレだけなのかと思うと、胸の中にほんわかとうれしさが込み上げてきた。

「リヴァイ、好キ……ダカラモット、欲シイ……一緒ニ、イキタイ」

 獣化エレンが甘い叫びを上げると、リヴァイさんはすっかり熱を帯びた楔を引き抜き、体を向い合せにさせたオレの両膝を抱える。持ち上げられた獣化エレンの身体は重力に従い体を沈ませ、リヴァイさんを内なる奥へと招き入れた。

「スゴイ……奥、当タル……深クテ……イイッ!」

 獣化エレンはリヴァイさんの背中に回した手に爪を立てた。手加減できずに力を入れすぎたのか、避けた皮膚から血が滲んできたが、リヴァイさんは特に気にすることなく獣化エレンを下から執拗に突き上げ続ける。
 腰が激しくぶつかり合う度に結合部から混ざりあった二人の蜜が噴き出している。ここが風呂場で本当によかったと安心してしまう。
 さらに互いの体はお互いの愛液で染められていく。だが少しも気にすることなく、リヴァイさんと獣化エレンの腰の律動がますます速くなっていった。

「くそっ……止まらねぇ……」
「止メナクテ…イイ……リヴァイ!」

 オレもイッてるときは好きという気持ちと求める体が自身のコントロールを離れているからわからなかったけれど、リヴァイさんがこんなにも淫らな表情をするなんて初めて知ることができた。そしてとても綺麗だと思った。

「リヴァイッ……モウ……イクッ!……」
「あぁ、いいぞ。エレン……」
「イヤッ……今度ハ……一緒ガ、イイッ!」

 獣化エレンはリヴァイさんの肩口を噛んで、高まる快楽を堪えようとしている。それでも腰の動きを緩めないリヴァイさんは耳元に熱い吐息を吹きかけながら囁いた。

「安心しろ、俺も一緒にイッてやる。だから好きにイけ。」

 獣化エレンが満面の笑みを浮かべならリヴァイさんに縋りつく。さらに密着した体からはドロドロに混ざり合った汗や体液が互いの肌を伝い、ポタポタとタイルの床へと落ちていった。
 やがて獣化エレンはクイっと顎を上げながら腰を上下に激しく揺らした。

「アァッ、アァァァァッ―――」
「くっ―――エレン!」

 ほぼ同時にリヴァイさんが根元まで獣化エレンを突き上げ、絶頂を迎える。オレは心満たされながらそのまま意識を閉じた。
 今回のことでオレと獣化エレンがこれまで以上に一つになった気がする。
 こんなにもリヴァイさんに愛されていたことに、一年以上もかけてわかるなんて、本当にオレはまだガキとしかいいようがない。
 でももう迷いはない。オレとあいつは二人で『エレン』であり、リヴァイさんを愛し、愛される番なのだから――


「それで?もうつまらねぇヤキモチはやめたのか?エレン――」
「まぁ…それは善処します。あいつもオレですから。それに、普段見ることができないリヴァイさんの表情をたくさん見ることができてうれしかったです。」
「何だ?そんなもんが見たかったのか?」
「リヴァイさん、オレの前ではいろんな表情見せてくれますから。それがうれしいんです。」
「そうか……それはよかったな。」

 バスタブに背中を預け満足そうな笑みを薄く浮かべるリヴァイさんに、オレは甘えるようにして寄り添う。わざと水音をたてながらリヴァイさんの耳を下で舐め回し、最後には熱い吐息を吹きかけながら囁いた。

「リヴァイさん、愛しています……」
「俺もだ、エレン……愛している……」

 お互い、何度愛の言葉を口にしただろうか。それなのにまだまだ足りない。口にする度にリヴァイさんへの気持ちはどんどん膨らんでいくばかり。
 唇を重ねるだけでまだ存在感の残る体の奥で新たに生まれた熱が疼き始める。リヴァイさんを求める想いは一度溢れ出したらなかなか止めることができない。

「あの……途中で入れ替わってしまったんで、オレの方は物足りないんですけど……」

 オレはリヴァイさんの逞しい胸に顔を埋めながらおずおずと言い出す。そしてリヴァイさんの手を取り、疼く蕾の入口へと導いた。
 これでも積極的に誘っているつもりなのだが、発情期でないとどうしても照れが出てしまう。視線を彷徨わせるオレを見下ろすリヴァイさんは一瞬だけ目を大きく見開いた後、口元を綻ばせた。

「あぁ……何度でも愛してやる。俺もお前に飢えた獣だからな。」 




~三年後~


 ウォール・マリアは各国が表沙汰にできない闇取引の市場として、その存在は世界地図からも消されていた。厳しい遺伝子階級制度からあぶれた者たちが集まるこの法外特区を支配するのは最強のアルファの遺伝子を持つ闇の王・リヴァイ。そして彼の傍には番である美しいオメガの少年が常に寄り添っている。
 その少年を見た者の証言によれば、年頃はまだ十代半ばくらいだろうか。中性的な顔立ちに、吸い込まれそうな大きな瞳は銀色から眩い黄金色へと変わることがあると言われているが、これも不確定な情報だといえる。なぜなら少年を見た者はほとんど息絶える寸前の瀕死状態か、既に屍として晒されているかのどちらかだからだ。
 その少年が【幻のオメガ】ではないかという噂もあるのだが、もちろん確かめられた者などこれまで誰もいなかった。
 三年前、大国・トロストの策略により世界に存在を知られてしまったウォール・マリア。この闇市場を手に入れようといまだにリヴァイの命を狙う者たちが後を断たない。外からの侵入を拒むように四方を高い壁で囲まれたウォール・マリアの外にはその日も、見せしめのように無惨な屍が晒されていた。


 繁華街が集まるウォール・マリアの市街地から少しでも外れると廃墟とした風景が続く。ここには他人と接触したくない人間がひっそりと暮らしていることが多い。
 その中に【マッド・サイエンティスト】の名で通じるハンジの住居兼実験施設がある。エレンは朝からハンジの元を訪れていた。

「うん、今回も特に数値の変化は特に見られないし、いつもの発情期前の症状と変わりはない。自分で何か気づいた点とかある?」
「いえ、特には……相変わらず熱っぽくて体が少し重く感じるくらいです。あ、でも……」

 エレンはあることに気づいたのだが、口まで出かかった言葉を思いっきり飲みこんで抑える。ハンジがどうしたのかと興味深げに迫ってきた。

「ん?どうしたの?」
「いえ、すみません。オレの思い違いだったようです……」

 嘘をついたのはバレていただろうが、ハンジが深く追求してこようとしなかったのは優しさなのか、する必要がなかったのか。エレンもその場を取り繕うことにした。

「なら、いいけど?でもその目のクマは何とかした方がいいと思うよ、エレン。」
「え……?」

 ハンジがニヤリと口の端を上げてエレンの目元を指差す。顔の内側から火を吹いたように熱が沸き起こり、エレンは顔を真っ赤に染め上げる。ハンジにいまさら何を取り繕っても無駄だということはわかっているのに、羞恥心というのはなかなか拭えないようだ。

「まったく、リヴァイの奴。まだ発情期が来てないっていうのに、お盛んなんだから。いくら若いっていってももう少し労わってやればいいのにさ……」

 幻のオメガである獣化エレンと共有している特別な体はいまだ未知なる要素が多い。エレン自身でもわかっていないことが多いだけに、専門家であるハンジにこうして定期的に検査をしてもらっているのだ。
 医者兼遺伝子学研究者としてエレンの体をずっと診てきているハンジはそれなりに心配してくれているようだ。エレンは申し訳なさそうに苦笑いを浮かべた。

「でもうれしいです。たとえ番になっても発情期にしかオメガを抱かないアルファがほとんどだって聞いたことありますから……」

 番はアルファとオメガだけが対になる特別な強い結びつきであり、互いに本能で感じることができるのだが一生のうちに巡り合える確率は低い。たとえ巡り合えたとしてもその国の政府の方針により決められた相手と伴侶となってしまっているケースもあり、トラブルも絶えないらしい。
 番から生まれる子どもは優秀なアルファ性である可能性が高いため、近年では各個人の遺伝子データにより番を探すことができるシステムの研究開発も進んでいるらしいのだが、成功したという話はいまだ一度も聞いておらず難しいようだ。
 この世界で真に番となったアルファとオメガは一%にも満たない。番になったとしてもアルファにオメガに対する支配欲、オメガ自身も劣等感という根本的な部分が拭えることはないのだろうとハンジが教えてくれた。

「遺伝子のせい、というよりは人間の欲なんだろうね。動物と違って同じ人間を差別してしまう。こればっかりはどうしようもないことなのかもね。」

 ハンジは重く受け止めるなと遠回しに言ってくれているのだと悟ったエレンは胸にひっかかりと覚えつつ、少し俯きがちにそうですねと流した。
 アルファ・ベータ・オメガの三種の遺伝子はエレン――正しくいえばエレンの中にいるもう一人のエレン――人と獣が混じった美しい姿をした幻のオメガの遺伝子を元に、父親の手によって生み出された。
 人間同士の争いが絶えなかった世界に示された新たな戒律。果たしてそれが人間にとって正しい選択だったのか?とエレンは時折ふと思うことがある。だがそれはリヴァイの前でも決して口にすることはなく、そっと胸にしまっておくことにした。

「ハンジ先生!ちょっとよろしいですか?」
「んんん?モブリット、どうしたの?そんなに慌てて。」

 検査も終わり、帰ろうとエレンが身支度を整えていると、血相を変えたモブリットが飛び込んできた。
 モブリットは三年前、エレンを巡ったリヴァイとトロスト国との決着がついた後にこのウォール・マリアにやってきた。聞くところによるとハンジがいたストヘス国の研究所で長年助手をしていたらしい。優れた才能を持っている反面、ズボラなところがあるハンジの面倒をよく見てくれて助かるとリヴァイが言っていたのをエレンは思い出した。
 トロスト国に並ぶ大国であるストヘス国。遺伝子によるさらなる人間の進化を望むトロスト国とは対照的に、現段階での平和を維持したいという主張のストヘス国の機密情報局局長エルヴィン・スミスは、母を失いスラム街で泥水を啜る生活をしていたリヴァイに、抗争が絶えなかったウォール・マリアを支配し、安定をもたらすよう促した人物。
 三年前も、リヴァイとエレンを見守りつつ、トロスト国が自滅するよう裏で画策していた。一見、協力しているように見えるが、その本音までは読めないというのがリヴァイとエレンの見立てで油断はできない。
 ハンジも、そしてこのモブリットももともとはリヴァイとエレンを監視するために、エルヴィンから送り込まれてきているのは百も承知だ。
 リヴァイとエレンはお互いしか信用していない。近づく者は本来であれば排除すべきなのだろう。だが利用できるものは利用し、裏切るようなら消すまでというのがリヴァイの方針であることからエレンもこうしてハンジの元を訪れ、素直に体を調べてもらっているのだ。

「この前から頻繁に起きていた不正アクセスの正体、ようやくわかりましたよ。」
「不正アクセス……?」
「まだリヴァイには知らせていなかったんだけど、この一週間ばかりこのウォール・マリアの頭脳ともいえる中枢サーバーにアクセスしてくる痕跡が見つかってね。」
「不正アクセスなんて珍しいことじゃないですよね?」
「まぁね。モブリットが直々に組んだプログラムはそう突破できないからその点は安心なんだけど、ちょっと気になることがあって解析をお願いしていたんだ。」

 モブリットはコンピュータープログラマーとしては世界の三本の指に入るくらいだとハンジが以前自慢していた。もともとその点もハンジが担当していたのだがモブリットが来てくれたおかげで、ウォール・マリアへの人の出入りと始め、流通などあらゆる点において外からの攻撃に対するセキュリティが格段に上がったのは確かだ。
 おかげで実験に集中できるとハンジは手放しに喜んでいるくらい、いまのウォール・マリアにとってモブリットの存在は大きいのだ。

「あぁ、まるでこちらを試すように玄関のドアをノックしてきていた厭らしい奴がいたねぇ……で、どこからだった?」
「実は……」

 モブリットが気まずそうにチラリとエレンを見る。まさかまだエレンがいるとは思っておらず、飛び込んできてしまったようだ。推測するに、エレンというよりリヴァイに伝わるとまずい話なのかもしれない。

「隠し事はしない方がいいですよ、モブリットさん。リヴァイさんにはいずれバレますし。」

 エレンの瞳が黄金色に光るとモブリットは顔を引き攣らせる。牽制、という意味だったのだが殺気まで漲らせてしまったのはやりすぎたかとエレンは反省した。

「そうそう。私はリヴァイの眉間にギュっと皺を寄せた顔なんて見たくないんだから……」

 ハンジにバンバンと背中を思いっきり叩かれ、モブリットはゴホゴホと咳き込んでしまう。余計に申し訳ないとエレンは心の中で謝罪した。

「―――それが……ストヘス国からです。」

 さすがのハンジにも予想できない回答だったらしく、その場の空気がガラリと変わる。射抜くような眼差しをモブリットに向けた。

「モブリット、間違いないの?」

 冗談だと言ったらいますぐこの場でハンジの実験動物にされてしまうだろう。モブリットは額に汗を浮かべながら、それでも力強く頷いた。ハンジは珍しく舌打ちをし、腕を組み考え込んだ、

「まさか、エルヴィン……どういうことだ……」
「ストヘス国、といっても機密情報局が関与しているかどうかまではわかりません。それに……アクセス元は機密情報局のある首都ではありませんでした。」

 少なからず安堵の表情を浮かべるものの、油断ならない状況には変わりはない。モブリットは一番近くにあったスクリーンにアクセス元の地図を出す。
 エレンには当然見ず知らずの土地なのだが、ハンジはヒュッと大きく息を呑み込んだ。

「ここは私が以前いた研究所じゃないか……」
「そこまでピンポイントにはわかりません。ただ、研究所周辺であることは間違いないです。しかし、一体何のために不正アクセスをしてくるのか……」

 モブリットも言い辛そうに俯く。

「あの……ハンジさんがいた研究所は遺伝子の研究をしていたところですよね?」
「そう……研究、と言ってもストヘス国の法律で定められた年齢に達した子どもたちの遺伝子を調べて判定するだけだったけどね……」

 ハンジが大きく溜息をついた。ストヘス国では十三歳に達したすべての子どもに対し、政府の指定機関で遺伝子検査を義務づけている。調べた子どもたちの遺伝子を三種に判定して、その結果を伝えるための施設なのだとハンジはエレンに説明してくれた。

「あの研究所は街の郊外にあって周辺には建物はほとんどなかったのは知ってるだろう?モブリット。他の場所とも考えられない。」
「やはりエルヴィン局長に聞いてみるしかないのでしょうか?」
「どうやらそれしかねぇようだな。」

 この場にいないはずの聞き慣れた声に三人は驚く。ドアの方に一斉に振り向くとそこにはリヴァイが腕を組みながらもたれかかっていた。

「リヴァイさん……一体いつからいたんですか?」
「予定の会合が思いのほか早く終わったから迎えに来た。」

 確か今日の会合は普通だったら深夜までかかる難題だったはず。リヴァイがどれだけ強引に終わらせてきたのかエレンには容易に想像がついた。
 番になったとはいえ、発情期が近いエレンをなるべくなら一人にしておきたくないというのがリヴァイの心情らしい。エレンもやっと車を運転できるようになったから一人でハンジのところまで行けると言ったのに、今朝もリヴァイに送ってもらっていた。ハンジに『過保護だねぇ』と冷やかされたばかりだった。

「工作員がストヘス国に入り込んでるかもしれねぇ。エルヴィンのことだから、しばらく泳がせている可能性も高いが……」
「だったら、何でこっちに連絡してくれないんだ……」
「相手の出方がわからない以上、知らぬふりをしていた方が尻尾を出しやすい。それに、こっちのセキュリティがそうたやすく破られない自信もあるんだろう。」

 リヴァイはスッと視線をモブリットに移す。モブリットはいまだ顔を青ざめさせながらももちろんです!と胸を拳で叩いた。

「まったく……リヴァイ以上に付き合いは長いけれど、エルヴィンの頭の中だけはいまだに読み取れないや……わかったよ、ちゃんと答えてくれるかわからないけど連絡取ってみる。」
「決まりだな。エレン、帰るぞ。」
「は、はい……!」

 子犬のようにエレンはリヴァイの背中を追いかける。外に出ると夕闇に染まる茜色の空が広がっていた。エレンは行きと同じくリヴァイが運転する助手席に座り、今日ハンジの元であった出来事を話していた。

「で、検査の結果、そろそろ発情期が始まるみたいです……」

 エレンはもじもじさせながら聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟く。オメガの体でありながらエレンはリヴァイと出会うまでは発情期というものがまったく来なかった。
 幻のオメガである獣化エレンと一つになったことが要因だとされていたが、リヴァイに出会い、愛することでエレンの体はどんどん変化していき、ついに発情期が訪れるようになったのだ。
 番の証を刻むと発情期中のエレンのフェロモンは当然その相手であるリヴァイだけしか感じ取ることができない。それはいいのだが、自分の中に渦巻くリヴァイに対する欲望が抑えきれずいつも呑み込まれてしまう。
 朝から晩まで炎のように疼き出す体はいつも熱くて溶けてしまいそうだ。そして特にオメガ特有の性器と言われる箇所を突かれたくてたまらなくなるのだ。
 またあの時期がやってくるのか――求めても求めても止むことのない、貪欲な体の前では理性など意味は不要だといえる。それが一週間近くも続くとなると、悦びと不安がいつも入り混じるのだ。

『特に発情期はあいつの方が支配力強まるからな……』

 あいつとはもちろんエレンの中で眠るもう一人の獣化エレンのことだ。
 全身を火照らせながら風船のようにぷぅっと膨らませるエレンの頬をリヴァイが指先でツンと突いた。

「またヤキモチか?ったく、お前らは相変わらず成長しねぇな……」
「――こればっかりはリヴァイさんに何て言われようと仕方ないことですから……」
「俺にとってはどちらも愛する番に変わりはねぇって何度も言ってるだろ?それじゃ不満だっていうのか?」
「わかってます……わかってますけど……」

 獣化エレンと入れ替わっているときに自分の意識があるのが厄介といえる。自分の体なのに、まるでリヴァイに浮気されているような複雑な心境は三年経った今でも拭い去ることはできない。
 獣化エレンも同じ気持ちでいること、さらにリヴァイがどちらを区別することなくエレンを愛していることも身を持って知っているわけだし、一度は納得したつもりだった。それでも独占欲を我慢することができず、嫉妬心はますます大きくなっていくばかりだ。
 感情がやたらと昂ぶって不安定になるのももうすぐ発情期だからかもしれない。もっと強くならなければならないのに――心が段々と弱くなっていく気がして目にジンワリと涙が浮かんでしまう。
 リヴァイに見られないよう、外の景色を眺めるフリをして顔を逸らした。

『あれ……?』

 まっすぐアジトに戻る予定だった車は、市街地に入る手前の人目を避けた路地の片隅に静かに止まる。エンジンの音が消え、何事かとリヴァイの方を振り向いたエレンの座っていたシートが突然後ろの倒され、天を仰ぐ格好となってしまった。

「リ、リヴァイさん……?」
「一つ教えてやる、エレン――お前の拗ねたその顔、俺を煽らせるだけだぞ?」

 ギシっとリヴァイがエレンの方へ体重をかけてくると、車が少し沈んだような気がして視界が塞がれる。焦るエレンは覆いかぶさってくるリヴァイを押し退けようとした。

「ちょ、ちょっと何でこんなところで?あともう少しでアジトだっていうのに!」
「待てねぇ……というか無意識に誘うお前が悪い。」
「さ、誘ってなんか――?あ……!」
「嘘つけ……」

 言われてエレンは初めて気づいた。微かだが花の蜜のような甘い香りが自らの鼻をくすぐる。ハンジの元にいたときは何ともなかったのに、いつのまにか発情期が始まってしまったようだ。

「そ、そんな……ハンジさんは発情期が来るのは三日後くらいだろうって言ってたのに……」
「そんなに俺のことが欲しかったのか?エレンよ……」

 熱い吐息を吹きかけながらリヴァイはエレンの首筋から耳朶の裏を舐め上げる。ただでさえ敏感に感じる部分なだけに、もうそれだけでイってしまいそうな感覚に陥る。

「あぁっ…やっ、………あぁぁぁ―――」

 エレンは甘い叫び声を上げながらそれでもまだ抵抗しようと足掻いてみる。郊外とはいえ、ここは外でしかも車の中。まもなく陽が暮れるものの、いつ人がやってくるかわからない。
 そんなエレンの理性をリヴァイはお構いなしにどんどん溶かしていく。一人分しかない狭いシートに張りつけにされ、うまく身動きが取れない。
 しかも変に体を動かそうとするだけで車が軋むように揺らされるので、外から見れば中に人がいることが外からバレバレだ。リヴァイだってそれくらいわかるはずなのに――エレンは甘い口づけを次々に落とされる刺激に耐えながら、潤んだ瞳でリヴァイをまっすぐに捕えた。

「こ、こんなところ……誰かに見られたくないです……」
「ウォール・マリアじゃこんなの日常茶飯事なのはお前だって知っているだろ?エレン。外だろうが中だろうか構いやしねぇってな。」
「ち、違う……そうじゃなくて……オレだけしか知らないリヴァイさんの表情――誰にも見られたくないから外は嫌なんです。」

 エレンの言葉が予想外だったらしく、リヴァイは瞼を数回瞬いた後フッと口元を綻ばせた。

「あぁ……それなら心配するな、エレン……」
「え……?」

 着ていたシャツを上まで剥がされ、胸の先端にある赤い果実の片方をリヴァイが美味しそうに熱い舌先で突く。ビリビリと電流が背筋の下から上まで駆け上がり、エレンは顎を仰け反らせた。

「この車はすべて表からは見えない特殊加工のガラスだ……知らなかったのか?」
「え、え……?」

 最近になって運転もできるようになったエレンだったが知る由もなかった。中からは外の景色が見えるのに、外からは中を見れないマジックミラーのような構造はあまり知識のないエレンにとっては不思議でならない。

「だから安心して俺にイイ顔をたくさん見せろ、エレン。」

 すっかり固くなった尖りを指と舌で押したり潰されたり、時には摘ままれたりと弄ばれる。胸を刺激されているだけだというのに、狭い空間に響き渡るクチュクチュという卑猥な水音、密着して伝わるリヴァイの体温にエレンの全身のありとあらゆるところが刺激されていき、快楽がエレンを支配する。
 灯った熱が下半身に集中していく。やがて一番奥からドロリと熱いものが泉のように沸き起こり伝わっていくのがわかった。

「んんん……リヴァイさん……もぅ、オレ……我慢できない……」
「すげぇ……そそる顔してるな、それにココも止まらねぇみてぇだぞ。淫乱だな。」
「そんなの……リヴァイさんの前だけだから……ほら……」

 ここまで来てしまったらやはりオメガの本能には抗えない。エレンは自ら下着を下ろし、既に下半身の前後からはトクトクと溢れ始めている蜜をリヴァイに見せつけた。

「たまらねぇ光景だな……」

 通常のセックス、しかも男同士ならば十分に解すことが必要なのだがエレンはオメガである上、発情期など関係なく毎晩のようにリヴァイの熱をその身に受け入れているのだ。
 エレンにとってもはや前戯など必要ない。
 リヴァイ自身もそれはよくわかっているようで、手際よく腰のベルトを外し、反り返った楔を露わにする。見慣れているはずなのに毎回エレンの心臓がドクンと大きく跳ね上がった。
 この逞しく固い楔で中をグチャグチャに貫かれてしまいたい――

「早く……来て、リヴァイさん……」

 これではまるで強請ることしかできない娼婦のようだ。自分のことを浅ましく思いながらも、疼く体を止めることができず、リヴァイに縋るしかできない。
 リヴァイは疼きが止まらないエレンの体を起こす。今度はリヴァイが運転手席に座りその上にエレンを跨らせる格好にさせた。

「そんなに欲しいんだったらお前の好きなように挿れてみろ、エレン……」
「え……いいんですか?」
「俺に跨って可愛く踊るお前の姿を見るのも悪くねぇ……」

 初めて自分からやってみろと言われ、最初戸惑いを覚えつつもエレンは高揚感が沸き起こってきた。もう待てない――エレンは小さく頷き、剃り立つリヴァイの楔を蕾の入口にヒタリと当てる。
 溢れ出して止まらないエレンの蜜がポタポタと零れ落ち、リヴァイの昂ぶりを染め上げていくので、もはや何もする必要はなかった。

「い、行きます……」

 何とも間抜けなかけ声だったかもしれない。リヴァイはエレンの細腰に両手を添え支えてくれる。見上げてくるリヴァイの艶めいた視線に胸をときめかすと同時に、早くこの人を感じたいというドロリとした欲望が波となってエレンを襲った。
 ズッーー腰を下ろす度に中を押し広げられていくような感覚は、圧迫感はあるものの痛みはほとんどないといっていい。中の襞が貪欲に絡みついていった。

「あっ、すご……あぁぁ………」

 制約された狭い空間の中で響く声もいつもより厭らしくエレンの耳を犯していく。肌の密着感は吐息も、体温も直に感じてエレンの全神経を甘く溶かしていった。
 エレンはリヴァイが自身の中に挿入してくる感覚がたまらず好きなのだ。熱と熱が弾け合い、擦れ合う感覚。やがてドロドロに溶け合ってリヴァイと一つになるときにいつも幸せを感じることができる。

「んんっ、……すごぃ……リヴァイさんが……オレの中にぃ……」

 時々リヴァイがわざと軽く突き上げてくるので、その度に腰が跳ね上がる。気がつけば根元まですっぽりと埋まり、エレンはふぅっと小さく息を吐いた。

「上出来だ、エレン……」

 リヴァイが回した腕でそっとエレンの背中を優しく撫でてくれる。
 でもまだ序盤にすぎない。互いの体はもっとと求め続けている。エレンは羞恥心や理性、すべてを投げ捨て大胆に腰を動かし始めた。

「あっ、……んんっ、はぁっ……」

 それはもう一人の獣化エレンへの対抗心もあったのかもしれないと、エレンはぼんやりと薄らいでいく意識の中で考えていた。

「ほぅ……お前にしては随分と積極的だな、エレン。悪くねぇ……」

 リヴァイは余裕の笑みを浮かべながら、自分の上で腰を動かすエレンを眺めている。片方の手で跳ねるエレンの腰を支えながら、もう片方の手は潮を吹いて止まらない、エレンの昂ぶりを上下に扱いていた。

「んんっ……もっと、リヴァイさんに気持ち良くなってもらいたいから……」

 汗なのか、精液なのか、それとも自身のフェロモンなのか混じった匂いが車の中に充満する。 
 フェロモンはリヴァイだけを刺激するはずなのに、今日に限ってはエレンにとって媚薬のような効果をもたらしていた。

「ふっ……っ…、…」
「リヴァイさんも……気持ちいい?」
「……熱くてたまらねぇ……もっと、来い…エレン!」

 上下に跳ねる腰が止まらない、激しい挿入感と抜けていく焦燥感を繰り返していくうち、結合がどんどん深くなっていく。もうどこまでが自分で、どこからかリヴァイなのかもはやわからなくなるほどに蕩け合っていた。

「ふぅっ……うっ、あぁ……」

 駆け上がる絶頂感に耐え切れず、エレンは苦しいほどにリヴァイに抱きつく。

「あぁぁっ……んんっ…リヴァイ、さん……イくっ……ダメっ!」
「……いいぞ、エレン。そのままイっちまえ。」

 腰を強く掴まれ、打ちつけられる。ズンと肌と肌がぶつかり合う音がしたのを合図にエレンの中で膨らみきった熱が勢いよく弾けた。

「あぁぁっ……、あぁぁぁぁ――――」

 エレンを最奥まで貫き、一際大きくなったリヴァイの楔からは勢いよく穿きだされる熱い白濁の液……満たされると幸せな気持ちでいっぱいになっていく。

「んん……あぁぁ……あっ、つい………」

 内壁の襞と粘膜が焼けて溶かされそうな熱さにエレンは身悶えをしながら、リヴァイの腕に沈んでいく体を預けた。



 当然のことながらそれだけで満足できるはずもなく、リヴァイが再び車のエンジンを入れる頃には日付が変わろうとしていた。

「リヴァイさんのせいで発情期が本格的に始まったみたいです……」
「まだ抱き足りねぇ……今夜も寝かすつもりはねぇから覚悟しておけ、エレン……」
「そんなの……オレだって同じですよ……」

 しかしエレンは引っかかりを覚えていた。発情期が始まったはずなのに、今日は一度も獣化エレンと入れ替わることはなかった。いままでそんなことはなかったので、どうしたものかとエレンは小さな不安を覚えた。
 リヴァイも同じことを思っていたのだろうか。車の運転がいつもより急いでいるような気がした。

「え………?」

 前を見るエレンの視界――車のライトに突如現れた人影に息が止まる。その後、キキィーと耳をつんざくような音とともに、車が急反転し、エレンの体のバランスが大きく崩れた。

「リ……リヴァイさん、人が……」

 人を跳ねた感覚はなかったので、うまくよけられたはずだがおかげで車は進行方向と百八十度真逆を向く格好となった。

「チッ……ふざけた真似しやがって……!」

 リヴァイが大きく舌打ちをしながら外へと飛び出す。エレンもリヴァイに続く。そういえばエレンも柄の悪い連中から逃げている途中でリヴァイの乗った車に飛び出したのが運命の出会いだったことを思い出した。

「エレン……お前は車の中にいろ。」

 リヴァイの低い声に殺気が込められているのがエレンにはすぐにわかった。リヴァイの視線の先にある人影――夜の闇に溶けこんでしまうほど、美しい黒色をした髪は肩くらいまである。細くてしなやかそうな体をした少女がゆっくりとこちらを振り向いた。
「てめぇ……何者だ……?」

 リヴァイと同じように、エレンにもこの少女が只者ではないことがすぐにわかった。
 リヴァイの声が聞こえているのかいないのか、少女は答えることなく無言のままひたすらエレンをジッと見つめている。エレンはまるで狼に睨まれた兎のように、その場を動けずにいた。

『何だ?この子は一体……?』

 エレンにはこの少女と過去に会った記憶はないはずなのに、なぜか懐かしさが込み上げてくる。たまらずエレンは横にいるリヴァイの表情を窺った。

「おい、なぜ答えねぇ。口が聞けねぇのか?」
「…………」

 少女の瞳がエレンではなくリヴァイをずっと捕えている。まるで天敵にでも出会った獣同士が睨み合っているように見えた。

「リヴァイさん……どこかの国の刺客でしょうか?」
「さぁな……だが油断ならねぇ……エレン、気をつけろ。」

 たとえどんな敵を前にしても、エレンに対しリヴァイが警戒しろと忠告することはほとんどなかったというのに、この少女にはそうせざるを得ない何かをリヴァイも感じているようだ。
 時間が止まったかのように一歩も動けない三人を満月だけが眺めている。緊張と困惑が入り混じる沈黙はすぐに破られた。

「エレン……?本当にエレンなの……?」

 暗闇の路地から聞こえる声には覚えがある。でもまさか彼がこんなところに来れるはずもない。
 少女の背後から現れたのは利口そうな金髪の少年――多少大人びいた感じもするが見間違えようもなく、エレンは驚きの声を上げた。

「ア……アルミンなのか……?」
「よかった……見つかってよかった……」

 幼馴染の少年は当時と変わらない表情で安堵の笑みを浮かべる。だがエレンは素直に再会を喜べずにいた。

「お前……どうしてこんなところにいるんだ?」
「君があの日、崖の上から海に転落したって聞いて……でも僕は君が生きてると信じてずっと探していたんだ。そうしたらここにいるミカサがエレンに会わせてくれるっていうからついてきたんだ。」
「ミカサ……?あの子が……」

 少女の名前はミカサというらしい。エレンの中にドクンと何かが大きく弾く。次の瞬間、少女の姿が視界から消えた。

「リヴァイさん!」

 目で追うことのできない速さでミカサは隠し持っていたナイフでリヴァイに襲いかかる。リヴァイは寸でのところで避けてミカサの手首を掴み上げた。

「……てめぇ、どういうつもりだ?」

 ギリギリと締め上げようとしたリヴァイに、ミカサは負けじと今度は靴に隠していた刃物を剥き出しにして蹴りかかってきた。

「てめぇっ……」
「――――っ!」

 リヴァイはミカサの鳩尾に容赦なく拳を捻じ込みすぐさま距離を取る。ミカサの体は思いっきりふっ飛ばされたが、さしてダメージを受けていないようですぐに立ち上がった。
「フン、どうやら殺気を隠すつもりはねぇようだな。なぁお前、そんなに俺を殺したいのか?」
リヴァイが楽しげにミカサをわざと挑発する。エレンは内心ハラハラしながらも二人の間には入り込む余地はまったくといっていいほどなかった。

「私こそがエレンの真の番……」
「え……、いま何て……?」
「だからお前は邪魔だ。死ね、リヴァイーー」


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