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ウンメイノヒト~Another Episode~

2014.10.12COMICCITYSPARK発行のリヴァエレオメガバースパロ「ウンメイノヒト」の番外編です。



お話はリヴァイとエレンが出会う前のリヴァイ視点のお話です。
短いですがよろしければどうぞ♪
未読の方はまずはサンプルをお読みください。

ウンメイノヒト~Another Episode~



熟れすぎて腐りかけの果物なのか、香りのキツイ花なのかよくわからない、気持ちの悪い匂いがやたらと鼻につく
オメガのフェロモンなどリヴァイにとっては厄介でしかない。

――甘ったるい、反吐が出そうだ

嫌悪感しか出てこない。だが、相反して内から起こる肉欲の本能はそれを求め続ける。

――いい加減、壊れて俺の前から消えてしまえ

この行為に意味などない。
サッサと終えてしまおう。もっとと強請る厭らしい顔を憎らしげに思いながら腰の律動を速めていった。



*      *        *



「あれ?リヴァイ、どうしたの?こんな夜遅く……」

 本当はあまり訪れたくない場所だと、書類があちらこちらに散乱している部屋を見回して相変わらずな光景にあからさまに嫌な表情を浮かべる。中に入ろうとするとズボンの裾に絡まる紙を、リヴァイは大きく舌打ちをしながら拾った。

「てめぇ……ここいつ掃除した?」
「んーーー?確か先週の初めだったかな?」

 あまりにもズボラはハンジに苛立つリヴァイは早々に用件を済ますことにした。

「薬が無くなった。新しいのをくれ。」

 まだ番の証を刻んでいないオメガの放出フェロモンを抑えるための抑制剤や市販薬としても手にいれることができる。オメガ自身が抑えるためのものと、フェロモンを感知しても煽られないようにアルファが抑えるものと抑制剤は二種類ある。
 リヴァイの場合、市販薬のものだとどうやら効き目が薄いらしく正直困っていた。だからこそあまり頼みごとをしたくないくされ縁のところわざわざ足を運んでいるのだ。
 アルファ・ベータ・オメガという階層による管理がされているこの世界で、希少種のオメガは優秀なアルファを産ませるための貴重な存在。十五歳の遺伝子検査でオメガと結果の出た人間は保護と称した収容施設に送られ、アルファに番として選ばれない限り鳥籠から出ることができない。アルファに選ばれ、番の証を刻むことで他のアルファを誘惑しない程度にフェロモンの放出は収まるのだが、リヴァイはその僅かなフェロモンでも敏感に感知してしまうごく稀にいるタイプのアルファらしい。
さらに遺伝子検査を逃れたオメガが街に潜伏している場合もあり、中央保安局が取り締まりを強化しているのだが、背後に反政府勢力の手が回っているらしくいつもいたちごっこで終わってしまう。
 抑制剤を切らしたことに気づきハンジの元に来る前も、運悪く発情期のオメガに遭遇してしまい、内で渦巻く忌々しい欲望を穿きだしてきたばかりなのだ。

「あー……またオメガの毒気にやられたの?」

 機嫌の悪いリヴァイの様子を見て察して憐れんだハンジは薬棚から赤い蓋のケースを取り出し、リヴァイのために調合した抑制剤と水を渡した。

「くそっ…、面倒な体だ。オメガのフェロモンにやられて自制が効かねぇなんてアルファなんてロクでもねぇな。」
「リヴァイも早く番を見つければいいのに。エルヴィン局長もそろそろ痺れ切らしてるんじゃない?」
「俺は番になんて興味がねぇ。それに、番の証を刻んだからっていってそのオメガのフェロモンの放出が前よりは抑えられるだけで、アルファには関係ねぇだろ。」
「そりゃそうだけどさ。番がいるといないとじゃ気持ちの持ちようが違うってことが言いたいんだけど。結局リヴァイは本気で番を探そうとしていないだけでしょ。」

 つい先日オメガの男を番に迎えたばかりのハンジは余裕の笑みを浮かべ、楽しい結婚生活を語り始めようとする。クソメガネのノロケなど聞きたくないとリヴァイは毒を吐いてから早々に部屋を出ていこうとした。

「あ、そういえばさ。この前おもしろいオメガの子見つけちゃったんだよね。」
「おもしろいオメガ?何だ、それは。」

 リヴァイはオメガの話などはなから興味はないのだが、なぜかこのときだけは足を止めてハンジの方を振り返った。

「うん、この前遺伝子検査を受けに来た男の子なんだけどね。オメガなのに他のオメガとは遺伝子の組み合わせが微妙に違うんだ。こういうのはいままで見たことがない。」

ハンジはそのオメガと他のオメガの遺伝子の比較画像をモニターに映して力説しているが、遺伝子学に詳しくないリヴァイには組み合わせが違うと言われてもさっぱりわからない。

「しかも体はオメガに変化しようとしているんだけどね、初期検査のデータ解析結果では妊娠ができないオメガというイレギュラーな判定が出たんだ。」
「解析するコンピュータの故障じゃねぇのか?」
「あのね、遺伝子検査結果による判定をしているのは中央政府のスーパーコンピューターだよ?そんなことあると思う?それにあの日は他に200人近くの子たちが同じ検査を受けているのに、その子だけおかしいってこと有り得ないでしょ?」

 ハンジは呆れるがリヴァイだってそれくらい知っている。こうなったハンジは話し出したら誰にも止められない。これは朝までコースか……とリヴァイは額に手を当てながら無機質な天井にある蛍光灯を見上げた。

「でもあの遺伝子の配列……本当はもっと調べたかった。ああいったイレギュラーな遺伝子が現れるとなるとやっぱりオメガはまだまだ謎が多いな……」
「で、そのオメガはどうした?」

 そんな貴重なオメガだと分かったらハンジだったら手放さないはず。リヴァイの質問にハンジはお手上げという恰好で首をフルフルと振った。

「私が引き止める間もなく施設に連れていかれたよ。妊娠できないオメガじゃアルファに選ばれることはないだろうからあそこからは一生出られないだろうね。だからこそ彼の研究と保護を上に申請しているんだけど………」

珍しく肩をガックリ落とすハンジ。最後まで聞かずとも結果はあえなく却下されたのだと容易に想像がつく。
体がオメガだとなれば妊娠できずとも発情期が来ればフェロモンが放出されるはずだ。引き取り手のないオメガがいるとなればあの施設にいる高慢なクセに低レベルな監視官たちにいいように弄ばれ、肉欲の人形扱いされるのがオチだろう。
自分に劣らず悲惨な境遇だなと顔も知らないオメガのことをリヴァイは少しだけ同情した 

「残念だったな……お前が尊敬するイェーガー教授だったか?進化したアルファの研究の貴重なモルモットだったろうに。」

 アルファの中でもSクラスと言われている者は中央政府の中でも高官候補、さらにはこの世界を統制するためのすべての決定権をもつ最高位であるシーナの番人候補となる。このため、専属の教育機関に入れられ、熾烈な競争のもと成績による優位が決められていく。 
 イェーガー教授はSクラスのアルファよりさらに進化した人間の可能性について唱えた遺伝子学の権威。だが、研究半ばにしてオメガの妻とともに交通事故で亡くなったらしい。

「そう。しかもその子はイェーガー教授の息子だったんだ。」
「おい、それは本当か?ハンジ。」

 ハンジは無気力に頷く。確かにイェーガー教授の子どもの遺伝子に欠陥となれば何かしらあると研究者でなくても考えたくなる。
 どこだがわからないが、既に収容施設入りとなればもはや手遅れ。申請も却下となれば中央政府は妊娠できないオメガなどこの世界には不要という判断なのだろう。

「あきらめろ。上の決定に逆らうことはできねぇ。ここでこのまま働きたいなら余計なことするんじゃねぇぞ。」

 思い込みの激しいハンジは時々無鉄砲に走り出すと誰にも止められなくなる。リヴァイはハンジに釘を刺し、帰ろうとドアのノブに手をかけた。

「はぁ……今度こそ何かわかると思ったのに……運命の   が……」

 ハンジの独り言の最後の方がよく聞き取れなかったが、前に言っていた。何百万に一つの可能性と言われる、本能で互いを引き寄せ合うアルファとオメガの番の話だろう。
 よく酒の席で酔っ払いながら力説していたのを耳にタコができるほど聞かされた。正直、遺伝子学的にも明らかに解明できてないことを信じるつもりもサラサラないし、自分には全く縁のないものだ。
 仮に自分の中にあるアルファの本能が惹かれるオメガがリヴァイの目の前に現れたとしてもその手を取ることはしない。リヴァイは自分の利き腕である右の掌を握りしめた。


*       *        *



「リヴァイ、今日の午後、特に予定は入っていないな?私に付き合ってもらおうか。」

 エルヴィンがわざわざリヴァイの席に来て予定を確認するということは、行く先は決まっている。リヴァイは読みかけの書類から目を離すことなく、わざと大きなため息をついた。

「エルヴィン、俺は何度行こうが……」
「リヴァイ、もうすぐ三十歳になるだろう?」

エルヴィンがこうもしつこいのには理由がある。この世界のアルファは三十歳になるまでに番を得ないと反逆罪に問われる上、中央政府のコンピューターによって強制的に番を決められてしまうのだ。面倒だからそれで構わないと適当に言っているのだが、エルヴィンはいつまでも引こうとはしなかった。

「中央保安局局長である私の片腕だということをもう少し自覚してもらいたいな、リヴァイ?」

 声は穏やかだがものすごい威圧感を感じ、周囲にいた部下たちは皆その場で竦みあがってしまう。このままだとエルヴィンは出ていこうとしないし、職場の雰囲気を悪くするわけにもいかず、リヴァイは読んでいた書類を机の上に叩きつけてようやく重い腰を上げた。




「臭ぇ…」

鼻が曲がってしまうほどの匂いにリヴァイは顔をしかめる。オメガの収容施設は何か所かあるが、
逃亡を阻止するための高い壁、あちこちに設置された監視カメラなど刑務所とほぼ変わらない。ここに来る途中の車内でエルヴィンから事前にこの施設にいるオメガのリストを渡された。普段なら目も通さないのだが、このときなぜかリヴァイはハンジが言っていた特殊なオメガのことを探していた。ただの興味本位だったのだがリストを目で追うリヴァイをエルヴィンは物珍しげに見ていたのが正直気に喰わない。
しかし、結局イェーガー姓のオメガは載っておらず、途端に興味が逸れたリヴァイはリストの紙を放り投げてしまった。
100人近くのオメガが集まった講堂。その中には発情期が近い者もいるらしく甘ったるい匂いがリヴァイを襲った。

『限界だな―――』

エルヴィンが施設の幹部に挨拶している隙を狙ってリヴァイは講堂を抜け出す。
早く新鮮な空気を吸いたいとリヴァイは中庭へと向かう。日当たりもよく、心地よい風が吹いていてリヴァイは思いっきり澄んだ空気を吸おうとした。

「なんだ……?この匂いは……」

いままで嗅いだこともない甘い匂い。オメガのフェロモンのせいで甘い匂いには苦手なのだがこの匂いはまるで違う。うまく言い表せないのだが、リヴァイの心をくすぐるようなそれでいてとても惹きつけられる甘さ。
どこからだと見回すリヴァイの視界の先――中庭にある木陰のベンチに誰かが座っていた。
少しずつ近づいていくと、匂いがだんだん強くなる。後ろ姿でよくわからないがどうやらこの不可解な匂いの発生源はこの少年のようだ。

「―――ったく、誰もいねぇと思って来てみたら……」

 リヴァイが声をかけると背中をビクンとさせて少年が振り返る。歳は十五歳くらいだろうか……一目でオメガだとわかった。

―――ドクン

少年の大きな黄金色の瞳を見た瞬間、リヴァイの胸の中で鼓動が大きく跳ね上がる。

『何だ……?どういうことだ……』

 一体自分はどうしたというのだ?オメガのフェロモンの毒気についにおかしくなってしまったのか?リヴァイは胸に手を当てた。

「……誰?」

 少年はいつでも逃げ出せるよう警戒しながら自分のことを探ってくる。少年の柔らかな頬や体に暴行の痕があるのを見つけたリヴァイは怪訝そうに目を細めた。

「オメガの奴らは皆講堂にいるはずだろ?てめぇはオメガじゃねぇのか?」
「――オレは欠陥品らしいし、行っても無駄なんだと。」

 あぁ……こいつか。リヴァイはすべてを悟った。ハンジが言っていたイェーガー教授の息子がいまリヴァイの目の前にいる。
 リヴァイは内心ほくそ笑んだ。妊娠できない特殊なオメガ……自分の目的を成し遂げるために上手くすれば役立つかもしれない。
 それとは別にさっきから自分の中で有り得ないほどの欲望が渦巻いていて仕方がない。オメガのフェロモンにあてられても決して感じることのなかった、独占欲のようなものなのだろうか……?

『俺は……このオメガを自分のものにしたいのか?』

 いままでも、そしてこれからも決して他人を受け入ることはないのだと固く決意をしている心が僅かに揺らぎ出す。
リヴァイの中で生まれた小さな変化がこの先どんな結果をもたらすのか――
目の前に現れたこのオメガが自分にどんな影響を与えるのか―――
 抗ってみるのもおもしろいかもしれない、とリヴァイはまるでゲームを楽しむかのように賭けに出てみることにした。

「エルヴィン、俺はこいつにする。」

 


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