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C86新刊「光る満月、碧い鳥」(リヴァエレ)サンプル

COMIMC MARKET86 2日目西地区た-15a Mikeneco Cafe

リヴァイ×エレン 小説 R18
A5 70P(口絵付) 600円
光る満月、碧い鳥
WEB用400

【あらすじ】
巨人の力を手に入れた代償として人を愛する心を失ったエレンはリヴァイと体だけを繋ぐ関係が続いていた。
ある壁外調査でリヴァイは皆を逃がすために一人巨人の群れの中に残りそのまま行方不明。
もう一度リヴァイに会いたいと願うエレンの元に月の使者と呼ばれれる碧い鳥が降り立つ。
碧い鳥が話ではリヴァイはエレンがいる世界とは別の世界に飛んでしまい、そのせいで世界全体に
歪みを生じてしまい、このままだとリヴァイの存在自体が消えてしまうのだと告げる。
リヴァイを救いたいエレンは月の力を借りて並行世界に飛ぶが……


夏なのでエレンがパラレルワールドに飛ぶという不思議なお話にしてみました。
最後はラブラブハッピーエンドです。


素敵な表紙及び口絵を青汁様に描いていただきました!ありがとうございます!

コミケではこのほかにオメガバースパロの無料配布本を予定しています♪

※サンプルは冒頭部分で、エロ途中で終わってます。すみません!
R18表現あるので、18歳未満の方はご遠慮ください



>※注意※R18表現があるので、18歳未満の方がご遠慮ください。
閲覧は自己責任でお願いします。 

 ミカサはエレンの姿を探していた。
この場所は使われなくなった街の集会施設らしい。支給された毛布もカビの匂いがやたらと鼻をついた。

「エレン……どこにいるの……?」

 実の両親を失ったミカサを引き取ったエレンの家族と過ごした時間は僅かだったが本当の家族のように思っていた。
 しかし、突如として現れた巨人によって過ごした街は破壊され、母親であるカルラは無惨にもエレンとミカサの前で巨人に殺された。
 父親とも連絡がつかず、身寄りのない二人は懇意にしていたハンネスの手引きによってウォール・ローゼへ向かう避難船に乗せられ、命からがら逃げのびることができたのだ。
 巨人の恐怖を目の当たりにし、皆が絶望に打ちひしがれる中、ただ一人、エレンだけが違っていた。

「この世から巨人を駆逐してやる。一匹残らず……!」

 このときミカサは背中に悪寒のようなものを感じた。涙を溢れさせながらも遠くに見える巨人の姿を睨む瞳の中に、親愛なる者を殺されたという哀しみや憎しみとは違う、狂気のようなものが渦巻いている。
 それはあの時――両親を殺され、捕えられた自分を子どもの身でありながら単身助けに来たときと同じものだった。
 このままエレンはどこかに行ってしまうのではないだろうか。胸の不安の過ぎったミカサがふと足元を見ると深夜だというのに影があることに気づいた。

「月―――」

 やたらと明るいと思ったのはどうやら建物の灯りのせいだけではなかったようだ。頭の上を覆い尽くす夜の闇と瞬く星々。その中で一際存在感を示していたのが丸くて大きな月だった。エレンもいまの自分と同じ月を見上げているような気がして、辺りを見回してみるとここよりさらに上に上がる階段を見つけた。
 一歩一歩階段を昇り、最上階にある錆びついた扉を開けると、外の涼しげな風がミカサの頬を撫でた。

「エレン――――」

 ミカサはホッと胸を撫で下ろす。どうやらエレンはずっと屋上にいたようだ。エレンは石壁に背をもたれながら夜空に浮かぶ月をジッと眺めていた。
エレンの黄金色の瞳の中に浮かぶ月は実際目にする月より綺麗だと思ってしまうのは、ミカサが潜めているエレンに対する淡い感情のせいなのかどうかわからない。
 あと数歩というところまで近づくと、ようやく気配を察したのかエレンがこちらを向いた。

「ミカサ………」
「どこに行ったのかと思った。あまり心配をかけないで。」
「――一人や二人いなくなったところでわかりゃしない。寧ろここにいる奴らにとってはせいせいするんだろ。」

 ミカサは何も言えなかった。ウォール・マリアを巨人に占拠され、住む場所が無くなった大勢の人々は正直ここの人間にとっては厄介者でしかないのだということが子どもでもわかる。

「エレン。このままここにいたら風邪を引く。中に戻ろう?」

 ミカサが促すがエレンは一歩も動こうとしなかった。

「オレは……母さんを殺したあいつらが憎い………。」
「エレン………」

 エレンは小さな拳をギュっと握り、わなわなと震わせた。

「だけど……オレがもっと許せないのは母さんが殺されるのに何もできなかったオレ自身だ………」

 エレンの目から涙が溢れ返る。ミカサは胸を詰まらせながらもあえて厳しいことを口にした。

「わかったでしょう?大人だって何もできずに逃げることしかできなかった。大人でも太刀打ちできないのに私たちがどうにかできるはずがない。」
「オレが……あの瓦礫を早くどけていたら……母さんは助かったかもしれないのに………」

 涙で濡れるエレンの瞳が一瞬、光ったように見えたのは気のせいだろうか。ミカサは何度も瞬きをした。

「オレは絶対、この手で巨人を駆逐してやる……」

 エレンはずっと握りしめていた掌を広げると、爪が皮膚に食い込んでいたのか切れて所々赤い血が滲み出していた。
 ミカサが駆け寄ろうとしたがエレンの手が阻む。

「そのためなら……オレは何だってしてやる……」

 ボソリと呟きながら頭上に浮かぶ月を再び見上げるエレンに応えるかのように月が一瞬だけ蒼白い光を放つ。

『いまのは何……夢?それとも幻……?』

 月とエレン――そこには自分が入り込めない、障壁のようなものをミカサは感じていた。


*    *    *


 エレン・イェーガーはある感情が欠落している――
 これは長年巨人の研究をしてきた調査兵団分隊長、ハンジ・ゾエがまとめた膨大な量のレポートの一番冒頭に書かれていたものだ。
 人間が何かしらの力によって巨人化する際、体の変化とともに襲ってくる計り知れない負荷の中、自分の意識を保つことができるかどうかは巨人の狂気に耐えられる明確な意志を持つことだということは本人に埋め込まれていた記憶により明らかとなっている。
 そしてもう一点。ハンジはエレンと巨人の力を研究していく中で、ある重要なことに気がついた。しかしこれはエレンにしか当てはまらないことなのかもしれない、と前置きが述べられている。
 ハンジはエレンには人に愛され、愛されることを悦ぶ感情が欠落しているのではないかと仮説を立てたのだ。
 大切だった母親が無惨に殺される光景を目の当たりにした子どもが心にトラウマを背負い、自らの殻に閉じこもって他人を受け入れられなくなるというのはよくあることであり、ハンジ自身これまでも多く目にしてきた。そういった子どもには時間をかけて愛情を育むことによって次第にトラウマは薄れていき、頑なだった心は和らいでいくものだ。
 だがエレンはそれとは少し違う。エレンの場合、愛情というものをどこかに置き忘れてきた、と言った方が正しいのかもしれない。事実、調査兵団に入団してからの三年間で十八歳へと成長したエレンは、まだ少年の頃の幼さを残しながらも立派な青年になろうとしている。
 もともと端正な顔立ちをしていたのと、何より巨人の力をコントロールし人類を救う希望とくれば周囲の女性たちが放っておくわけがない。
 しかし、エレンには思春期特有の淡い恋愛感情というものを一切持ち合わせておらず、数えきれないほどの交際の申込みをすべて断ってしまう。その度に同じ一〇四期生のジャンやコニーに嫌味を言われるのだが、エレンは一言「そんな気が起きない」のだと言うだけなのだ。
 ミカサ・アッカーマンがエレンに対して抱いている感情も恋愛に近いものだというのは周囲の誰もが知っている。だがエレンはそれさえも気づいていない様子だった。
 いくら過酷な経験をしてきたとはいえ、エレンが異性に対し恋愛感情を全く抱かないというのは、もしや巨人化と関係があるのではないかと推測した。
巨人とエレンの関係にはまだ解明すべき謎が多すぎる。特に精神面という不安定で状況に左右されやすい部分はいくら研究を重ねてもわからないことばかりだ。
 ある日、ハンジは実験でエレンと二人きりになった際に、尋ねてみた。

「エレン、恋愛をしてみたいとは思わないの?」

エレンは最初虚をつかれたような顔をしたが、スっと目を伏せてしばらく考え込む素振りをする。ハンジは何も言わずにエレンの返答を待った。

「――正直、よくわからないんです。」
「わからない?」

 せっかく待った返答がこれか、とハンジは少々落胆した。エレンはハンジの心情を察したのか苦笑いを浮かべながら頭を掻いた。

「期待を裏切ってしまったようですみません。」
「だってエレン、君は巨人になる能力がある以外は至って普通の人間と変わらないんだよ?まぁ…私がわかるのはあくまで肉体面だけどね。」
 
 ハンジは机の上にあったカップの紅茶を一気に飲み干した。すっかり冷めた紅茶は茶葉の量が多めだったせいか喉に苦味を残していく。空になったカップを机の上へドンと乱暴に置いた。

「エレン、君は子孫を残そうと思えば身体的にはもちろんできるんだ。」
「そうですね……でも、いまのオレにはそういう気持ちが沸いてこないんですよ。」

 エレンは頭を掻きながらその場をごまかすようにハハハと乾いた笑い声をわざと上げた。

「君にだって大切な人はいるでしょう?」
「えぇ、もちろんです。オレのせいで失った命も多い。だからこそ守りたい人だっている。でも、それと恋愛はやっぱり別なんだと思います。そういう経験したことないからですかね?」
「君はこのままでいいのかい?」

 ハンジが静かに尋ねると、エレンは目を細め微笑んだ。

「いまのオレは一刻も早く巨人を駆逐するという大きな目的がありますから。」

 エレンの黄金色の瞳が一瞬だけギラリと輝く。
 美しさの中に潜む刃物のような鋭さを察知したハンジは背筋をゾクリと震わせた。
 ハンジはその日の夜、これまでのエレンの実験結果をまとめた何十冊の資料を始めから読み返していた。

『人間が成長していく上で自然に抱く感情が欠如しているとしか思えない………』

 もうどれだけ時間が経過したのかわからないが、あたりが静まり返っているということは就寝時間をとうにすぎているのだろう。包み込む夜の静寂を邪魔するかのように部屋の扉がノックも無しにバタンと乱暴に開けられた。
 好きなことに没頭している最中を邪魔されることはハンジが最も嫌いとするところだというのは周知の事実である。だからこそそんな命知らずのことをする人間は調査兵団の中ではたった一人しかいない。
 ハンジははぁっと長い溜息をつきながら本を閉じた。

「潔癖症のあなたがこの部屋に来るってことはよっぽどのことがあったのかな?リヴァイ。」
「クソメガネ、てめぇエレンに何を言いやがった?」

 顔を見ずとも声を聞いただけでリヴァイが苛立っているのがわかるのはもう十年近くもの付き合いだからなのだろう。さらにリヴァイがここに来た理由が予想的中だったため、ハンジは密かにほくそ笑んだ。

「何って?いつもの実験と身体チェックだけだけど?」
「戻ってきたエレンの様子が少しおかしかった。何か考えごとをしているようで俺の言ったことも上の空だ。」

 お前が何かよからぬことエレンに言ったのだろう?と、リヴァイは腕を組みながらハンジを睨みつけてきた。

「うーん、そこまで困らすつもりは無かったんだけどな。ということは本人も少しは気にしていたってことか。」
「何のことだ……?」
「ねぇ、リヴァイ。これは私の仮説なんだけど、エレンてさ、巨人の力を手にしたとき自分の持っている愛情をどこかに置いてきてしまったんじゃないかな?」
「力を得るために愛情を犠牲にしたっていうのか?」

 さすがにリヴァイは頭の回転がいいので助かる。ハンジは大きく頷いた。

「巨人化された人間のほとんどは自意識を失い、元に戻ることすらできなくなってしまう。ではどうしてエレンや限られた人間だけが自らの意思を保ったまま巨人になれるのか。それは自分の中にある大切な感情を対価にしているんじゃないかと思うんだ。」
「それはエレンと同じく巨人の力をコントロールしていたアニやライナーたちもそうだっていうのか?」
「いまはエレンしかいないから比較しようがない。なんとも言えないけど……その可能性は高いと思う。」

 この先もし、エレンの体が元に戻ったとしても人として大切な感情を失ったままだとしたら…?
まだ十八歳の若者には酷かもしれない。あからさまに肩を落とすハンジとは逆に、リヴァイはフンと鼻で笑った。

「大事なのはエレンが巨人の力をコントロールして俺たちの思いどおりに戦うことだけだろう?」
「それは確かにそうだけど………」
「なら余計なことを考えさせるんじゃねぇよ。いざというときに巨人化できなくなったらどうするんだ。」

 ハンジはリヴァイをジッと見つめた。いまのエレンは確かに愛情が欠けていると思うが、エレン自身が恋愛に興味を持たないのは目の前にいるこの男にも原因があるんじゃないのか?とハンジは心の中で呟いた。

「とにかくこれ以上の詮索はするんじゃねぇ。あいつの研究を進める上で必要ならエルヴィンの許可を取れ。」

 ハンジの意味深な視線を嫌悪に感じ取ったのだろう。リヴァイはクルリと背を向け、扉のノブに手をかけたところでハンジは呼び止めた。

「今夜もエレンの部屋に行くの?リヴァイ。」

 リヴァイの動きが一瞬止まる。ハンジは口元をニヤリとさせた。

「―――それがどうした?」
「別にぃ。あなたとは長い付き合いだけどそんなに過保護な奴だったのかなって驚いてるんだ。」
「過保護とは違うな。あいつは俺の監視対象だ。」
「そう思っているのは……あなたとエレンだけかもよ。いえ、思い込んでいると言った方が正しいのかな。」

 リヴァイはチラリとハンジに視線を向けた。これ以上言ったら削ぐ勢いの殺気に籠った視線だ。

「エレンを殺せるのは俺だけだ。それはいまも昔も変わらない。あいつを好きにしていいのも俺だけだ。」

 そう言ってリヴァイは部屋を出て行った。ようやく平穏が訪れた部屋でハンジはふぅっと大きく息を吐いた。

「まったくリヴァイの奴……それがエレンに対する独占欲だって自覚してないから余計に手が負えないや……」

 リヴァイとエレン、二人に間にある歪な感情が良い方向に向かえばいいのにとハンジは願うばかりだった。


 今日は何も手につかず早々にベッドに入ったものの、どうも寝つくことができない。エレンは仕方なく部屋の窓枠に腰をかけ、夜空を眺めていた。

――恋愛をしてみたいとは思わないの?

 ハンジに聞かれた直後は実感のようなものが沸かず、どう答えていいのか本当にわからなかった。だが後になってハンジの言葉が重くのしかかり、エレンはリヴァイやミカサが話しかけいることさえ耳に入らなくなってしまったのだ。リヴァイにはこっぴどく叱られ、ミカサにはしつこいまでに心配をされてしまった。

「恋愛か……いまのオレには必要のないものだ。」

 夜空に浮かぶ月に向かってポツリと呟くがどうも胸にストンとしたものが落ちずにもやもやしてしまう。
 大切な人間はいる。ミカサや幼馴染のアルミン、そしてこれまでエレンを信じ、共に死線を潜り抜けてきた一〇四期生…エレンが絶対に失いたくないと思う者たちだ。
 だが恋愛となるとどうも違う。心だけでなく体でも繋がりを求めてしまうような相手に対し、熱く沸き起こるような感情というものがどうもエレンにはわからない。
 巨人の力をコントロールできるようになり、リヴァイとともに調査兵団の双翼とまで言われるほどになってエレンに言い寄ってくる女性たちは数えきれぬほどだ。
 エルヴィンの指名で貴族のパーティーに出席した際、綺麗なドレスの女性たちに囲まれたものの、エレンはその女性たちの申し出を全部断ってしまった。このことはいまでもジャンやコニーに僻まれている。

「やっぱりオレ……普通じゃないんだろうな……」

 わかってはいるつもりなのに、まるで愚痴を吐くように口に出してしまう。
 好きな伴侶と一生を添い遂げるというような人としての幸せを営むことなどできないなどということは、自分が巨人の力を手に入れたときからとうに自覚していた。
 だから別に構わないはずなのに……さっきから胸の奥がつかえて仕方ない。それとは別に体の中で灯った熱がじわじわとエレンの体中に広がり始めていた。

「もしかして……今晩来るのかな………」

 エレンは期待をこめながら視線を部屋の扉へと向ける。
 すると念が通じたのか、静かな音を立てて扉が開いた。

「リヴァイ兵長………」
「何だ、まだ寝ていなかったのか?」
 寝ていてもどうせ起こすくせに……という言葉をエレンは呑み込んだ。
「えぇ……何だか今日は寝つけなくて………」
「そうか……まぁ寝てても起こすことになったがな。」

 リヴァイはスカーフを取り、シャツのボタンを上から数個だけ外す。露わになった鎖骨には数日前に自分が刻んだ赤いしるしがほんのりと残っていた。

「あ……すみません、結構痕になっちゃいましたね。」
「そうだな、おかげで他人に見られないよう着替えするのにも気を使わされたもんだ。」

 チクリと針を刺すような嫌味を言いながら、リヴァイはエレンの頬にそっと触れる。部屋の明かりは消したままだが必要ない。月と星の明かりが二人を明るく照らしていた。
 リヴァイの切れ長の瞳がエレンを捕えると金縛りにあったかのように動けなくなってしまう。顔を背けることもできず、エレンの中で灯った熱はどんどん大きくなるばかりだ。

「あ……兵長………」

 縮まるリヴァイとの距離。時の歩みが遅くなったような気分を味わいながらエレンはそっと目を閉じる。するとしばらくして唇に柔らかなものが触れた。目を開けずともわかる。もう何度も触れているリヴァイの唇そのものだ。

「ん―――」

 熱い吐息とともに隙間から漏れる声。エレンは背筋をビクリと震わせながら体を退こうとしたが、リヴァイの逞しい腕によって既に逃げ場を失っていたのだ。

『ダメだ、流されてしまう―――!』

 いっそのこと拒めたら楽なのかもしれない。だがなぜか力が入らないのは本能が欲しているからなのだ。
 リヴァイとエレンがこうなったきっかけは意外に早い方だった。トロスト区奪還作戦後、巨人化するエレンの力を恐れた中央の保守派の連中や憲兵団はエレンの処刑を訴えた。
 しかし、巨人を殺せるエレンの力を活かしてウォール・マリアを奪還、シガンシナ区の生家に眠る巨人の秘密は人類に二度と訪れない好機であるとのエルヴィンの主張が認められ、エレンの身柄は調査兵団が預かることとなった。
 さらに条件としてリヴァイがエレンを監視、エレンが暴走した際は即座に殺すことが付されたことでエレンはミカサやアルミンたちとも引き離され、精鋭班とともに街の郊外で監禁されることとなった。
 理由がどうであれ、幼い頃から憧れだった調査兵団に入団できたものの、あまりの環境の急激な変化にエレンは戸惑いの連続だった。
 リヴァイを始め、精鋭班の四人は何かあればいつでもエレンを殺せるよう常時見張っている。多少なりとも打ち解けることができたものの、根底は揺るがないものなのだとエレンは自覚していた。そして何より、自分が目標としてきた人類最強であるリヴァイにはどんな命令でも従うしかない日々が続いた。
 その日は昼間からの激しい雨が一向に止まず、エレンがいる地下の部屋の雨漏りが酷くなってきてしまったのだ。
 さらにタイミングの悪いことにエルドたち精鋭班四人はリヴァイの使いで兵団本部に赴いており、運悪くもリヴァイとエレンの二人きり。鍵のかかったエレンの部屋は使いものにならなくなってしまったため、エレンはリヴァイの部屋で夜を過ごすことになった。
 やむを得ない状況だったのだ。だからリヴァイがなぜあのような行動を取ったのかエレンはいまでもわからない。

「お前は俺に逆らえないはずだ。大人しく従え――」
「リ、リヴァイ兵長!やめてください――!」

 上司が部下に体を開かせることは実は兵士間では珍しいことではないということは、ジャンやコニーたちが噂話をしていたのでエレンも知識として知ってはいた。
 実感はわかないものの、自分も上司から求められたら従わざるを得ないのだろうかとぼんやり思う程度だった。
 正直初めての相手が上司であり、自分を唯一殺すことができる人類最強の兵士というのはエレンにとっても驚きだったが、嫌悪感などは一切なかった。
 自分でさえ触れたことのない部分をリヴァイに探られる羞恥心に耐えられず、反射的に何度か逃げようとしたがすべてリヴァイの強い力によって阻まれてしまった。

『なんだよ……これ――――』

 異物が侵入してくる違和感と引き裂かれるような痛みは自然と和らぎ、なんともいえない高揚感がエレンを支配する。追いつかない心より先にエレンの体は次第にリヴァイによって開拓されていったのだった。
 リヴァイとエレンの秘密の関係はもう三年も続いている。
 調査兵団に入団してから三年も経つと、エレンは班長として一つの班を任されるようになり、皆からの信頼も厚い。いまだエレンの巨人の力を恐れてはいるのだろうが、これまでのエレンの活躍を見てきたことで次第に薄らいでいったようだ。
 取り巻く環境に変化はあったがリヴァイがエレンの監視対象であることは変わりがない。リヴァイがなぜエレンとの体の関係を求めるのか、疑問を抱きながらも聞けずにいた。

「あ―――」

 不意打ちに敏感な場所を突かれ、エレンは甘い嬌声を上げながら思わずシーツを掴んだ。

「相変わらず敏感だな、お前――まさか、俺が来る前に一人でしていたのか?」
「……………」

 リヴァイに舐めるように見られ、エレンは背けた顔が真っ赤に熱くなるのを感じながらギリっと唇を噛みしめた。
 仕方のないことだと思う。愛情が欠落していようとも体の性的欲求は別物なのだ。この三年もの間、絶え間なくリヴァイと体を繋げてきた。すっかりリヴァイの好みに染められた体はもうリヴァイのことしか求めないようになってしまっているのかもしれない。
 リヴァイが部屋に訪れない夜は、熱く疼く体を一人で慰める。体は自身の行為で満ち足りてもどことなく虚しさを覚えてしまう。それはリヴァイに対する愛情なのか?と自身に問いかけてもよくわからないのだ。

「うわっ―――!い、いきなり何するんですか?」

 耳元に熱い息を吹きかけられ、舌の滑りとした感触がエレンの耳の中を蹂躙する。エレンは驚いて飛び上がった。

「お前……誰を頭に浮かばせながらヤってたんだ?」
「な、何を聞いてるんですか、いきなり………」

 リヴァイはエレンの額に手を当て、ベッドに頭を押しつけながら顔を近づけてきた。

「いいから、答えろ―――」
「そんな、ことするの……オレはリヴァイ兵長しか知らないんですから他の奴なんて考えられませんよ。」

 素直に答えると、リヴァイは満足したのか口の端をニヤリと上げた。

「それで……十分だ………」



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