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恋の続きは深夜のオフィスで~番外・エレン誕生日編~


エレン誕生日イベントで出した無配本となります!


恋の続きは深夜のオフィスで~番外・エレン誕生日編~



三月の終わりともなると、どこもかしこも慌ただしい雰囲気が漂ってくる。
ここ数年で急成長し、いまや世界トップクラスと噂に名高いウォール社。ずっと憧れていた企業にエレンが入社してまもなく一年になろうとしていた。
エレンはその日、駅から会社までの道のりを通勤ラッシュの人ごみを駆け足で通り抜けていった。

「やば…このままだと遅刻だっ…」

腕時計を見てサッと血の気が引いていく。
昨夜も終電を逃してタクシーで帰ったときには深夜の二時はとっくに過ぎていたはず。玄関のドア開けてそのままソファに倒れてこんで眠ってしまったせいで、目覚まし時計をセットし忘れたのが寝坊の原因だ。
朝ご飯など食べる余裕が当然あるわけではなく、シャワーだけ浴びて家を飛び出してきたのだが、間に合うかどうかギリギリのところだ。
来月からは後輩が入社してくるというのに、遅刻などみっともないことをしていたら上司であるリヴァイに叱られてしまう。それだけはどうしても避けなければならない。
追い詰められたエレンが会社の正面玄関に飛び込む。なんとか始業時刻一分前にタイムカードを押すことができた。

「はぁ……間に合った。」

乱れた呼吸を整えながらホッとひと安心をするエレンの頭を誰かが後ろから軽く小突いた。

「間に合った、じゃねぇよ。みっともない。」
「あ…リヴァイさ……リヴァイ部長、おはようございます!」

よりにもよって一番見られたくない相手に見られてしまった。安堵から一転、エレンは崖から突き落とされた気分だ。 
サーっと血の気が引くのを感じながらエレンはピンっと背筋を伸ばした。

「ったく……遅刻するくらいならちゃんと終電で帰りやがれ。自己管理できないでどうする?」
「……すみません。」
「後で俺の部屋に来い。週末にやるイベントについて途中経過を聞かせろ。」
「わかりました。すぐに行きます。」

エレンは身を翻してエレベーターに飛び乗った。
エリート揃いといわれる営業部に配属されたエレンはリヴァイから大きな企画を任され、つい先日社内のプレゼンテーションを成功させたばかりだ。
海外で開発された製品を販売するためのキャンペーン企画なのだが、入社して間もない新入社員が任されるにしては異例ともいえる大きな仕事だった。無事に企画が通ったのはもちろんエレン一人の実力ではない。エレンが所属するチームの先輩の助力はもちろんのこと、何よりリヴァイの存在が大きいといえる。
エレンは成功した企画の一環として週末に行われるイベントの資料を用意し、リヴァイの部屋を訪れた。このイベントの準備のためエレンは忙しい日々が続いていたのだ。
書類にずっと目を通しているリヴァイのことをエレンは緊張した面持ちで見つめていた。

「あの……どうでしょうか?」
「いいんじゃねぇのか?当日何かあればエルドとグンタに聞くといい。あいつらは経験豊富だからな。」

リヴァイに珍しく褒められ、エレンの顔がパッと明るくなる。それを見たリヴァイの口元がフッと綻ぶ。エレンの心臓がドクンと大きく跳ね上がった。

『リヴァイ部長の笑顔なんて……初めて見たかも。』

滅多に見ることのない、そして恐らく自分にしか見せることのないリヴァイの表情についうれしくなってしまう。
ずっと憧れの上司だったリヴァイと恋人になって三か月が過ぎようとしていた。
互いの仕事が忙しくてなかなか時間が合わない二人。前回恋人らしい時間を過ごしたから既に数週間が経過しているような気がした。

「あの……リヴァイ部長は当日来られないんですか?」
「行こうと思っていたんだがな。フランスの支社長と向こうの取引先の重役が来日するらしくてエルヴィンの接待に付き合わなくてはならなくなった。面倒だが……」
「そう……ですか……」

リヴァイが来てくれると期待をしていただけに、エレンはガックリと肩を落とした。

「当日のことはチームリーダーのエルドに全面的に任せてある。心配することはねぇよ。」
「あ、はい……そうですね。」

笑顔で返事をしたつもりだったのだが、ショックが隠し切れず、とてもぎこちない顔をしていたのだろう。リヴァイは不思議そうな目でエレンを見た。

「おいエレン、言いたいことがあるならはっきり言え。」
「いえ、大丈夫です。経理に呼ばれているので他になければこれで失礼します。」

視線も合わせないまま部屋を出ていこうとするエレンの手をリヴァイが掴んだ。

「お前、顔色悪いぞ。ちゃんと飯食ってるのか?」
「今日は寝坊したので食べる暇なかったんですけど、その分昼飯ちゃんと食べますから。」

リヴァイは眉を寄せ、信じられないという目をしていた。

「……あまり無理するんじゃねぇぞ。前も根つめすぎて目にクマ作っていただろうか。」
「そ、そんなことありましたっけ?」

目を泳がせながらとぼけてみるが、リヴァイにはやはり無駄だったようだ。

「仕事を成功させたいという気合いは買うが、それで体を壊していたら元も子もねぇぞ。」
「わかっています。オレ、これでも体力には自信ありますから。心配しないでください。」

リヴァイからの追及を逃れたいエレンは言葉を取り繕い、顔を見ることなく部屋を後にした。
とぼとぼと廊下を歩きながら、何度目かの溜息をつく。

『言えるわけ、ないよなぁ……』

エレンが企画したイベントが行われるのは三月三十日。
そしてその日はエレンの誕生日でもある。自分の誕生日はいつだと話したことはなかったから、リヴァイは三十日がエレンの誕生日だとは知らないはずだ。
もう学生ではないのだから誕生日に祝ってもらいたいなどと思ってはいない。これまで付き合ってきた女の子と誕生日を過ごていたし、プレゼントだってもらったこともある。だが、エレンは少しも楽しいなどと思ったことはなかった。
もともと恋愛という感情に対し人より薄い方である自覚はしていたエレンが初めて自分から求めたのがリヴァイだ。
男同士であり、年の離れた上司でもあることで本当に付き合っていいものかと迷ったこともあった。
だがリヴァイの自分に対する気持ちが本物だと知り、自身の気持ちも抑えられなくなっていた。
仕事の部下としても恋人としてももっとリヴァイと対等な存在になりたい。それがいまのエレンの目標なのだ。
わかっているからこそ、あの場でリヴァイに言えなかった。

『別にプレゼントが欲しいわけじゃない。ただ、リヴァイさんが傍にいてくれば他には何もいらないのに……』


[newpage]


  *    *    *

三月三十日――
その日は朝から晴天に恵まれ、イベント会場となった郊外にあるショッピングセンターには、親子連れやカップルなどが大勢集まった。
エレンは同じチームの先輩であるエルドたちに助けられながら、大盛況のうちにイベントを終わらせることができた。

「おつかれさま!来場者の反応、すごくよかったみたいよ。」
「ありがとうございます。ペトラさん。」
「エレン、よく頑張ったな。お前が考えた来場者へのプレゼントも好評だったぞ。」
「エルドさんに助けられなかったらコスト面で実現できませんでしたから。本当にありがとうございまず。」

エルドが微笑みながらエレンの肩に手を置いた。

「こういうのはチームでがんばるもんなんだ。もっと俺たちのことを頼っていいんだぞ、エレン。」
「はい、ありがとうございます。」
「リヴァイ部長、今日来れればよかったのに……」

ペトラが残念そうに呟く。

「ペトラさん、エルドさん。あとは後片付けだけなのでオレ一人で大丈夫です。おつかれさまでした。」

最後まで残ろうとした先輩二人をエレンは笑顔で送り出す。
誰もいなくなった控え室でようやく一人になったエレンが安堵すると突然視界がグルリと一回転した。

「あ、れ……?」

不意に体のバランスを崩し、よろつく。同時に背筋にゾクゾクとした悪寒が走り抜けて急に頭が重くなってきた。

『もしかしてオレ……よっぽど具合悪かったのか?』

視界が揺らぐ。呼吸が段々荒くなるとともにボーっとして何も考えられなくなってきた。

『すみません……リヴァイ部長……』

リヴァイに注意されていたというのに、自分が情けなくなってくる。心の中で謝罪をしながら意識が遠のくエレンの体をあたたかな温もりが包み込んだ。

「え………」
「ったく……この馬鹿が……」

フワリと宙に浮くエレンの体。うっすらと瞼を開けると呆れ顔のリヴァイがこちらを見下ろしていた。

「リ……ヴァイ……さん?」
「いいから寝ていろ。」

リヴァイの大きな手がエレンの目に被さると、体の力が一気に抜け意識が沈んでいった。



どれくらい時間が経過したのかわからない。ぼやけた視界がはっきりすると、そこはエレンの部屋の天井だった。

「目が醒めたか、エレン。」

ずっと付き添っていたのか、ベッドのすぐ横でリヴァイがエレンの手をずっと握ってくれていたようだ。

「リヴァイさん、どうして?今日は接待だったんじゃ……」
「区切りのいいところでエルヴィンに任せてきた。あそこからならお前の家の方が近かったからな……だが……」

リヴァイが部屋を見回しながら怪訝そうな顔をした。家に帰ってもほとんど寝るだけの生活だったエレンの部屋は掃除の手入れも行き届いておらずとても人を招くような状況ではなかった。

「冷蔵庫の中を見ても何も入ってなかったぞ。どれだけ無理をしていたんだ、お前は……」
「でもオレ、今回の仕事を成功させたくて……」
「いいか、エレン。お前の仕事は一人でできるものじゃねぇ。これからはチームでやっていくものだ。お前の周りには優秀な先輩がいるだろうが。遠慮ばかりしていてどうする?」

エルドやペトラはエレンの自主性を尊重してくれる。
頼ればいつでもアドバイスをくれる頼りがいのある先輩だ。

「さっきエルドさんにも同じことを言われました。いままでだってあれだけ助けてもらっているのに……迷惑じゃないんでしょうか……」
「あの企画はお前がメインだが、俺たち営業部で取り組んでいる大事な仕事の一つだ。皆お前のことを信用している。お前はもっと周囲に頼ることを覚えるんだな。」
「はい………ありがとうございます。」

リヴァイの言葉に体だけじゃない、心が随分軽くなったような気がした。

「とりあえず明日は一日休め。」
「え……でも……」
「上司命令だ。せっかくの誕生日を台無しにしやがって。」

エレンは自分の耳を疑った。

「え?どうして……オレ、今日が誕生日なんて一言も……」
「悪いな。職権乱用させてもらった。」

察するにエレンが入社したときの履歴書でも見たのだろう。
熱のせいでうまく頭が回らないこともあり、目を白黒させるエレンの額にリヴァイは自分の額をコツンと軽くぶつけた。

「接待を早く終わらせてお前の誕生日を祝うと最初から決めていた。お前の驚く顔を見たかったのに体壊しやがって……責任取りやがれ。」
「リヴァイさんも意外に子どもっぽいことするんですね。」
「……前にも言っただろう?お前のことになると自制がきかなくなるんだよ。一番驚いているのは俺自身だ。」

リヴァイの耳朶がほんのり赤く染まっているように見える。エレンはクスリと微笑んだ。

「……リヴァイさんの意外なところ、いっぱい見れてオレはうれしいです。」
「馬鹿にしやがって。とにかく早く体を治すんだな。誕生日祝いはまた日をあらためて……」
「あの、リヴァイさん!」

思わずリヴァイの言葉を遮る。リヴァイは一瞬目を大きく見開いた。

「どうした、エレン。」
「別に誕生日祝いなんて特別なこといらない。それよりもリヴァイさん、どこにも行かないで一緒にいてください。」

ずっと言い出せなかった言葉、いまだにリヴァイに恋人として甘えることができずにいる自分。
今日は決して会えないと思っていただけに、ずっと胸に締まっていた言葉がいとも簡単に出てきてしまった。
リヴァイはエレンの手を取り、優しく抱き寄せた。

「お前は本当に欲のない奴だな……」
「これでもオレ、リヴァイさんに対してだけはものすごい欲張りだと思っているんですけど……ただ、甘えすぎてリヴァイさんに嫌われるのだけは嫌なんです。」
「それは無駄な心配だな。俺がお前のことを嫌いになるなんてことはねぇよ。」
 
この人はどうしてうれしいことばかり言ってくれるのだろう。目がジワリと熱くなってきた。

「とりあえず今日はもう寝ろ。いま薬を用意してやる。」

立ち上がろうとしてリヴァイの服の裾を思わず掴む。どうしたのかと不思議そうに見下ろすリヴァイに、エレンはフルフルと小さく首を横に振った。

「リヴァイさん……オレいま、リヴァイさんが欲しくてたまらない……」
「何言ってやがるんだ。お前熱があるんだぞ?」

そんなこと言われなくたってわかっている。さっきから体が鉛のように重くて仕方がないのだから。
ダメだとわかっていてももはやエレンの感情は抑えつけることなど不可能だった。
エレンが物欲しげな視線でリヴァイをジッと見上げると、リヴァイはチッと大きく舌打ちをした。

「エレン、お前はどれだけ俺のことを振り回すんだ。」
「え……?」
「こっちだってさっきからずっと我慢しているんだよ。少しは察しやがれ。」

余裕のなさをエレンにぶつけるリヴァイ。エレンは自分からリヴァイに触れるだけのキスをした。

「風邪移したらすみません……リヴァイさんのことをもっと感じたいんです。オレがこの世に生まれた日に、大好きな人と一緒にいられることが何よりの幸せだって教えてくれたのはリヴァイさんだから……」



夜も更けてきたというのにエレンの部屋にはさきほどから静寂とは似つかわしくない卑猥な水音が鳴り響いている。
熱があるせいなのかわからないか、いつもより敏感に感じるような気がした。
リヴァイの熱い昂ぶりの先端が執拗にエレンの弱点を突いてくる。その度にエレンは腰を大きく震わせながら自身の白い欲望を穿った。

「あっ、やぁんっ……!あっ、リヴァイ……さん!」

リヴァイはエレンの体になるべく負担をかけないようにと、ベッドに腹這いにさせ、後ろから攻め立てる。
ベッドのシーツを掴んで高みへと昇りつめる快楽に耐えるエレンの目からは涙が零れていた。

「すげぇ締めつけだな。それにお前の中熱すぎて溶けそうだ。やっぱり熱があるせいか?」
「やっ、……そんなの、…知らない。」
呼吸が荒くなっていくとともに、激しく繰り返されるリヴァイの抜き差しにエレンの理性は脆くも崩壊していく。
擦り上げられる度、エレンの内壁は甘く震えながら蕩けてリヴァイの昂ぶりへさらに絡みついた。
でもまだ物足りない。エレンは枯れた声で懇願した。

「……リヴァイさんの顔ちゃんと見たい。」
「だがこの体勢の方が楽だろう?」
「辛くても構わない……お願いですから……」

リヴァイがエレンの背中に一度キスを落とすと、ゆっくりとエレンの体を仰向けにさせ、持ち上げた膝を肩にかけた。

「大丈夫か?エレン……」

本音をいえば少し辛い。でもいまは何よりリヴァイを感じたい。エレンは口元を綻ばせコクリと頷いた。

「早く……来て、リヴァイさん。」
「もう止めてやれねぇぞ、知らねぇからな?」

急に律動が速くなり、エレンの頭が霞み始めてきた。
エレンの男にしては細い腰を掴みながら、リヴァイが中をグルリと掻き回す。穿つ角度を変えられる度に内壁が刺激を受け、エレンの頭のてっぺんから足のつま先まで甘い痺れが駆け抜けていく。
腰を激しく打ち付けられ、上擦った声が口から漏れて止まらない。エレンは衝動を受け止めようと回したリヴァイの背中に爪を立てた。

「あっ、やっ、んんん―――っ!もぅ!」

天に昇り詰めるのはあっという間だった。シーツに白濁の欲望が飛び散ると同時に奥まで呑み込んだリヴァイの昂ぶりを搾り取るようにキツク締め上げる。

「っ………」

背後でくぐもった声がしたかと思うと、リヴァイの存在が一際大きく膨らんだ。
リヴァイの存在がエレンの心も身体も満たしていく。
この世で一番欲しいモノを手にした悦びを幸せに思いながら、二人ともベッドに身を沈めた。

「エレン、誕生日おめでとう……」

汗ばんだエレンの額にリヴァイのキスが落とされる。

「リヴァイさん……ずっと、一緒に………」

いてくださいねと言い切る前に意識は手放されてしまう。

「あぁ……そうだな。エレン……」

一瞬、リヴァイの瞳が寂し気な色が浮かんだのをエレンは知る由もなかった。



――知れば知るほど、オレはこの人のことを好きになる



リヴァイの吐息と胸の鼓動を感じながら、エレンは自分が生まれた日を好きな人と過ごせたことに感謝した。


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